サモンナイト
□金平糖
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『痛ッ…』
少女は軽い苦痛に顔を歪ませた。
「レナさん、どうしました?」
レナと呼ばれた少女は、口元をもぐもぐとさせながら振り返る。
『とげとげが痛い』
両手足を炬燵(コタツ)に潜らせているレナの目の前には、星形の色鮮やかな固形物が散らばる。
「あぁ、金平糖ですか」
『…コンペイトー、上顎に刺さった』
レナは炬燵にもたれ、もぞもぞと身体をよじった。
口の中で軽い痛みのような違和感を感じつつ、薬草を燻して煎じたお茶をすする。
レナと対面している人物は、炬燵上で見事に積み上げられた柑橘類の果物に手を伸ばした。
『シオンさんも食べません?コンペイトー』
シオンと呼ばれた人物は躊躇うことなく、鮮やかな夕日みたいな色の果物の皮を剥き始めた。
「甘いものは苦手で…」
『…その果物も……ミカンだっけ?…甘いと思うけどなぁ』
シオンは普段のポーカーフェイスな笑顔のまま、剥き終えた実を一口サイズにちぎり分けた。
「おや、そうでしたか」
そのまま見せ付けるかのように、レナの目の前で小さな実を口に含んだ。
「…美味しいですね」
レナはそんなシオンの様子を見ながら、自分の口の中で果物の甘味とは違う砂糖の味を感じていた。