サモンナイト
□可憐な少女
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「その少女の魅力は、私の華麗なる容姿に負けず劣らずでしてね…」
マーン三兄弟・三男カムランは金髪のストレートな髪をかきあげ、わざとらしく風になびかせた。周囲には、彼の馨しい髪の香が漂う。
「あの少女の名は、何というのでしょう…」
***
カムランは豪華なベルサイユ調の自室奥にある、バラが活けられたバルコニーにいた。
マーン三兄弟の広大な屋敷周りは塀に囲まれているが、カムランの自室に備えられているバルコニーは塀よりも高くに位置し、サイジェントの街並みが見下ろせる造りになっている。
バルコニーの中央、大理石のモザイクタイルをあしらったカフェテーブルには、アフタヌーンティーよろしく芳醇な紅茶のティーセットが並ぶ。
「あぁ、思い出すだけでも憎い!…奴等は、スラムに住み着く輩ではないかッ」
長男イムランは、不機嫌そうに眉間に皺を寄せ座っていた。
その口調はお世辞でも優雅とは言えないが、片手でティーカップを持つ装いだけはバッチリと決めている。
持病の胃痛が再発したのか、もう片方の手で、ひたすら腹をさすっている姿が何とも痛々しい。
「カムラン、あのスラムに出入りしている娘が気になるのか?」
そう問い掛けるのは、次男のキムランだ。
ガーデニングが趣味ということで、バルコニーに咲くバラが気になるのか、服が汚れることも気にせずプランターの土いじりを始めた。
「…憎らしいほど可愛いネコ耳、、モコモコのカボチャパンツから覗く小さなシッポ、可憐な召喚獣の少女です…」