サモンナイト
□相棒
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「いおす!ココハ危険ダ。任務ヲ続行サセルニハ、我々ハ別行動シタホウガイイ!」
「わかってるッ…」
イオスとゼルフィルドは敵対した相手からの召喚術の凄まじい衝撃破により、岩場に隠していた身を曝す羽目になっていた。
遊撃部隊の隊長である彼等は、戦列外での活動を主とし、ときに応じて敵を攻撃する役目を担っている。
しかしこのミッションでは部下の初歩的なミスが戦線に響き、同時にイオスの部隊は多くの負傷者を出してしまった。
言っておくが、これは決して訓練ではない。
彼等はデグレアの騎士・黒の旅団である以上、つねに戦う運命にある。
イオスは明らかに殺意のある弓矢の強襲を受けながら、ゼルフィルドの装甲(ボディ)を盾に苦戦を強いられていた。
『イオス!』
イオスの相棒として任務を遂行していたレオンは、かろうじて敵兵士から見つかっていないようで…
彼等から10フィート(約3メートル)ほど離れた岩場に身を隠していた。
「レオン!お前の部隊は!?」
イオスは大声で叫んだ。
『全滅!もう無理だ。一旦下がろう!』
レオンが叫び返した途端、身を潜めていた岩場のすぐ横へ、敵召喚師による術の砲弾が落とされた。
『きゃあぁッ!!!』
一瞬、真っ白な閃光が走ったかと思うと、大量の砂埃に視界を奪われた。
耳をつんざく爆音は、思わず両耳を覆ってしまう程。
肌がチリチリと焼けるような熱風、目の前にはバキバキと岩が削り取られる光景が広がった。
「いおす、掴マレ!」
「くッ…レオン!」
必死にしがみ付くイオスを爆風から守るゼルフィルドは、装備していた特殊な脚底(スパイク)を足場に食い込ませ、砂混じりの風を何とか耐えてみせた。
立ち上った砂煙が晴れると、そこにはレオンの姿は無かった。
その衝撃と爆風で、レオンは弾き飛ばされたらしい。
彼女が身を隠していた岩は砕け散り、跡形も無くなっていた。