サモンナイト


□暴かれた感情
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ジュンがペルゴの店に行くと、カウンター席にはスタウトの姿があった。

いつもの彼なら、入り口のドアベルが鳴った途端にジュンの名前を呼んで手招きをするのだが…


しかし今日の彼はどこか上の空で、ボーッとした顔で静かに天井を仰いでいた。


『…スタウトさん、どうしたんですか?』


来店したジュンにさえ気付いていない様子だったので、ジュンは控え目にスタウトに声をかけた。


ふとカウンターを見ると、普段スタウトがラッパ飲みで3〜4本は空ける小振りのビール瓶には、まだ半分以上も中身が残っていた。


同じく心配そうに見つめるペルゴによると、今日はまだ1本目らしい。


「あ、あぁ…嬢ちゃんか」


『なんか今日変ですよ?調子悪いんですか?』


スタウトは自分でも判っていない様子で、頭を横に振った。


「あー、何か分かんねぇけど急に調子が…。ビールが飲めねぇ時点で、変だよなぁ…」


スタウトは親指と人差し指で瞼を押さえると、珍しく大きな溜息をついた。


『風邪かなぁ、大丈夫ですか?…気持ち悪かったり、頭が痛かったりしません??』


カウンターにもたれかかるスタウトの様子を見るに、ただ事ではないように思えた。


「なんだかなぁ、胸がモヤモヤするんだよ…。かと思うと、急に顔が熱くなったり…」


『やだ!病気じゃないですか?ソレ…』


ジュンはあたふたしつつ、スタウトの身体を擦った。


『私、商店街で評判のいい薬屋さん知ってますから、そこ行きましょう!!』


「あ?」


スタウトはジュンに腕を掴まれ、引きずられるように店を出ていった。




***




「俺は薬は苦手なんだよなぁ」


スタウトは懐にしまっていたタバコを咥えると、火を点ける仕草をしだした。


『タバコはダメです!!病気かもしれないんだから…』


「あ?病気じゃねぇよ」


『だって、胸がモヤモヤだなんて…、絶対タバコ吸い過ぎですよ?』


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