ジブリの友達


□あたしと彼の共有時間
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午後の授業とホームルームを終えると、生徒は一気に解放感で騒ぎだす。


そんな彼らは各々部活だったり、アルバイトの為に帰宅したりと、自由に放課後の余暇を過ごす。


グラウンドで活動する運動部のかけ声、それとは対称的な静かな教室で、あたしと聖司くんはいつものように放課後を過ごす。


ひとつの机を共有し、向かい合って涼しげに本を読む彼を邪魔するように、あたしは『う〜』と唸ってみせた。


「なに?」


『疲れたし…眠い』


「お前さ、最近頑張りすぎなんじゃないの?」


実は、読書家の彼に少しでも近付きたくて…


ここ2、3日…あたしは徹夜で本を読んでいる。



「なんか夢中になってることでもあんの?…顔に隈が出来てる」


『あ…』


あたしの顔を覗き込む聖司くんの顔が近い。


悔しいくらい整った顔に、胸がドキドキする。


「無理するなよ。見てるコッチがツライから」


彼は今にも机に突っ伏してしまいそうなあたしの前髪を掻き上げた。


『だって…』


「“だって…”なに?」


意地悪。わかってるくせに…


『大好きな人と、同じ事を共有したいからさ』


「うん」


『聖司くんが好きなもの何かな〜って考えたら、読書だ!って思って』


彼はキョトンとした顔を浮かべると、


「そんなこと考えてたわけ?」


目を真ん丸くさせて聞いてきた。


『え?わかってたでしょ』


「全然」


クスクスと笑うものだから、あたしはひとり馬鹿を見た気がして、ムッと不貞腐れてみた。


「読書で徹夜したんだろ。慣れないことしないほうがいいぜ?身体壊すから」


『誰のせいよ、誰の…』


「俺?」


勿論、勝手にそういうことを実行に移したあたしのせいだけど…


いまだあたしの額を曝け出す彼に反抗するかのように、自分勝手で理不尽な言い分を押し付けてやった。


『聖司くんのせいでこんなツライ思いしてるんだよ?謝ってよ』


「じゃあ、ごめん?」


『気持ちこもってない』


「だろうね…(笑)。心からの謝罪じゃないし」


そういってはにかむ彼は、乱れた前髪を優しく整えてくれた。


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