戦国無双ノ章

□管理人
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逃げたい。

そう思うことは

可笑しいの?



現実逃避して

永遠に

夢に浸りたい。



そう思うことは

間違ってるの?
「………」

何も聞こえない。
嗚呼、きっと夢の中。

「会エタネ。ヤット」

「誰なの?」

振り向くと、容姿が幼い男の子だった。

「僕ハ、二次元ノ管理人。君ガ生マレタ時カラ、ズット君ヲ見テタ」

「二次元の管理人?その前に、その喋り方は……聞き取り難い……」

男の子はニコッと笑うと、肉声で喋り出した。

「ごめん。いつもあんな風にしてたから……と、今日は君を助けたいなぁ…て」

「助ける?どういうこと?此処は何処なの?」

辺りは真っ白で、声が響く、何故か服装が和服で、それもかなり豪奢。

「あのね、君は夢に憑かれたんだ……このままだと、君は現実に帰れないし悪夢を見ちゃうんだ」

「そ、そんなの嫌っ…」

夢は好き。
でも悪夢は嫌い。

「だから僕がいる」

男の子は優しく、私に微笑んだ。

「君が私を助けてくれるの?」
「任せて!僕は管理人。悪夢を見せない様に対策をたててきた」

案外、準備いいな。

「どうするの?」

「君には、戦国無双の世界に行ってもらう」

男の子の言葉に反応できず、ポカンと口を開けていた。

「え?何々?戦国無双?どーやって?」

連続質問に男の子は困った風に笑って自慢げに言った。

「僕は二次元の管理人だし……人を異世界に飛ばすのなんて、朝飯前♪」

「へぇー…。でもさ、何で無双の世界に行かなきゃいけないの?」

当然の質問に、男の子は真顔で真剣に答えた。

「ごめんね。君の身体はもう助からない…だから、精神だけ向こうに飛ばす」

「飛ばすって……精神だけじゃ駄目じゃん!」

慌てて男の子は補足した。

「大丈夫!向こうで、容姿が君と同じ代行体を用意……というか、今君は代行体使ってるしね」

驚いていると、男の子は鏡を渡してくれた。

「わぁ……。何も変わってないや」
「当然だよ。そうだ」

「?」

はい、と渡してきたのは綺麗な羽織。

「それね、君の世界で言う何でもポケット」

「すげぇな。おい」

「因みに、羽織の内側に手を突っ込んで願えば何でもでるし、君が突っ込めば此処にこれるからね」

「へぇー♪」

さっそく、羽織を羽織ると男の子は飛び切りの笑顔をしてくれた。

「大丈夫!君なら、上手くやれる。さ、新しい人生の始まりだよ」

言った途端、私の真横から黒い空間が侵食してきた。

「うん。ありがとう!」

言う内に、真っ暗闇になってしまった。
 

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