(´д`*)

□風邪
1ページ/1ページ



カタカタとキーボードを叩いていた音が止んだ。そのまま時間がゆっくり流れる。いっこうにその音が始まる気配がなかったから不思議に思って読んでいた本を閉じて藍に『どうかした?』と聞くけど返事はない。もしかして無視されてる?相変わらず冷たいなあ、と後ろから藍を抱きしめる…あれ、なんか藍熱くないか?



『ね、ねえ…』

「頭痛、発熱」

『へ?』

「今、ボクにでている症状だよ。これは完全に風邪の症状だね」

『藍が風邪?』



「どうしてボクが風邪をひくんだろう?有り得ないと思わない?」とパソコンの画面を見ていた藍が振り返って私を見上げる。その頬はうっすらと赤みがさして目は若干潤んでいるように見える。なんだこれ、私の理性を試す新しい機能ですかほんとやめてください。まじ可愛いです。



「ちょっと、なに考えてるの?」

『あいた!デコピン痛い!』

「全く…」

『ん?そうえば昨日メンテじゃなかったっけ?また博士になんかされたんじゃないの?』

「ハァ…その可能性大だね。ほんと勘弁してほしいよ…クシュン!」

『ちょっ!!ほら、早く寝なよ!』



藍がくしゃみするところなんて初めてみた。とりあえず藍をベッドに寝かせて布団もかけておでこに手をあてる。うん、熱い。冷蔵庫から冷えピタを持ってきてはってあげると「…ありがと」と言われてドキドキした。



『藍、なにか食べたい物とかしてほしいこととかある?』

「いや、ないよ」

『そっか、じゃあ大人しく寝ててね。薬局で風邪薬買ってくる、藍に効くかどうかわからないけど』



そう言って藍の側から離れようとしたら手をぎゅうっと握られて「やっぱりボクが寝るまで側にいてくれる?」と言われて『いいよ』と手を握り返してそっと藍のふわふわした綺麗な髪を撫でると、藍は気持ち良さそうに目を閉じて眠りについた。さて、薬買いに行くか。と思ったけど握った手を離したくなくてやめた。暫く藍の寝顔をみてたらなんだか幸せな気持ちになっていつの間にか私も寝てしまったのだった。







風邪
(ちょっと)
(藍、風邪ひいた感想教えてくれるかい?)
(やっぱり博士の仕業だったんだね)
(メンテの時にね)
(感想だけど、悪くはなかったよ)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ