イナズマイレブン

□すれ違い
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「はい、お茶」

「…あ、うん、ありがと」

訪ねてきた吹雪君を中に入れて、ソファーなんてものはないのでベッドに座ってもらった。僕は椅子に座った後に吹雪君にはこっちの椅子に座ってもらったほうがよかったのでは、と少し後悔した。
さすがに何も出さないのは失礼かな〜と思ってお茶だけは出したけど、一向に話し出さないので、少し気まずくなっている。

さっきからうつむいたままの吹雪君を見つめながら、聞こえないように、ため息をした。

綺麗だな…

僕は吹雪君に密かに想いを寄せていた。最初は、ジェネシスとの戦いで僕の流星ブレードに顔からおもいっきり食らっていて、その時結局謝らずじまいだったから謝りたくて、機会をうかがっていた。ずっと見ていたらいつのまにか吹雪君の多彩な表情に心を奪われていた。ザ・バースを一緒にしようって言われたとき、嬉しすぎて泣きそうになった。

ただ、僕みたいな男に好かれても吹雪君は困るだけだろうし、色々な噂では豪炎寺君とか、染岡君とかと、そういう関係を持っているとのことらしいので僕は諦めるしかない。

「…ト君、ヒロト君」

「ふぇ!?あ、ごめんね少し考え事してた」

僕が物思いに耽っているうちに、吹雪君は目の前にいた。顔が少し近いのは、いつものことだから慣れたけどね。吹雪君は椅子の前に座った。ま、いいけどね、と吹雪君は苦笑しながら言った。でもすぐに、真面目な顔に戻った。

「もう、明日…なんだよね」

「…うん、短いようで、長かったね」

「……ねぇ」

「何?」

「今から僕の言うことに驚くだろうけど、驚かないでね」

軽く無茶苦茶なことを言っている気がするけど、吹雪君の真剣な顔に、僕は頷くしかなかった。





「僕、ね


ヒロト君のこと、好きだったんだ…」




…は?
僕は想像すらしていなかった吹雪君の言葉にきょとんというよりぽかんとしてしまった。
吹雪君は僕の方すら見ず、矢継ぎ早に話した。

「一目惚れ、っていうやつかな?すぐに、ヒロト君のこと好きになったんだよね。ただ、ヒロト君ってキャプテンのことが好きなんでしょ?望みはかなり薄いから、諦めていたんだけど、明日には帰って別々の土地で過ごすんだよ…もう、会えないかもしれないんだったら、ダメ元でも気持ちを伝えたかったんだ。迷惑かなって思ったんだけどね」


好きって伝えたかったんだ
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