戯言

□グッドラック・ディアフレンド
3ページ/4ページ


ずりずりと這うように戻ってきた変態(仮)は、何事もなかったように緑茶を啜って笑う。
「お前だって似たようなもんだろ」
「僕はちゃあんと本拠地[ホーム]があんだよ」
此処、と畳をばしばしと叩く。一応手加減はしているから、左程傷んだ様子はないらしい。
「髪、切ったのか」
「見事に持ってかれたよ、死色に」
自嘲を混ぜて肩をすくめると、零崎の刺青がいっそう楽しげに歪んだ。
「似合うぜ」
「どーも」
正直、短い髪は居心地はよくねーが。仕事の原理上、ずっと理澄と一緒だったしな。
「つーかお前さ、引退したんだよな?」
「したぜ」
それがどうしたと問い返すと、零崎の疑問符が続く。
「なんでまだ、此処にいんだよ?」
存外に真摯なその言葉に少し、少しだけ虚を突かれた。肩をすくめて、答える。僕が云えるかもしれない、解答を。
「さぁて…なんでだろうな。多分、僕の、匂宮出夢の出番は、まだ、

終わっちゃいねーんだろ」

狐さん(西東なんとか…だったか。どうでもいいけどな)風に云うなら、僕はただ捌けただけ。台詞を云い終えて去って、舞台袖で息を殺し次のシーンを待つ役者。
次の台詞がさっぱり判らないところが難点だが。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ