高杉×土方

□君を感じさせていて、今だけは… ※R18
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この話は、ボーカロイドさんの『闇色アリス』という歌を聴いてパンと頭に浮かんだ話です。サクラはclearさんが大好きで、その方がこの歌を唄われていて…それを聞いた時、もうヤバかったです。話の中でも歌詞を引用させて頂きます。恐れ多いとわかっておりますが、駄文ながらも精根つくしますのでお許しください。

《人物設定》
・土方…芸能プロダクションJOYの研修生。ルックス・歌唱力共にずば抜けているのだが、‘あるコト’を拒み続けているためメジャーデビューには至っていない。現在16歳、芸能歴4年目突入。

・高杉…芸能プロダクションJOYの看板アーティスト。シンガーソングライターとして海外でも大活躍中。現在22歳で芸能歴15年。鬼畜系クールビューティーとして女性はもちろん男性の憧れの的でもある。左眼の眼帯には過去の秘密が…。

…その他にもチョイチョイ出てきますが、その都度紹介ということで。

ではではスタートです★









☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

(1)「お前が土方十四郎か?」

「そう、ですが…。」

「俺とコンビ組まねェか?」

「…!!?」

―夢のような言葉だった。ずっと憧れ続けた大物スターが、俺みたいなテレビに映ったこともないような下っ端に、メジャーデビューというチャンスを与えてくれたのだから…。


そもそも俺、土方十四郎が芸能界に進もうと決意したのは、この大物スターの影響がかなり大きい。元々歌を唄う事が好きでよく1人カラオケに行っていた(友達いないとかじゃねェぞ?)のだが、プロになりたいとは全く思っていなくて。たまたま年の離れた姉に連れられて行ったコンサートでその男のステージを見て、今まで味わったことのない興奮を覚えたのがきっかけだった。何万人という人々がその男を中心として1つになったような感覚。空気の振動がビリビリと痛い程伝わってくるのだが、それが気持ち良くて仕方がない。そして最前列にいたせいか、その男と何度か目が合ったのだが、その隻眼で見つめられる度、胸の鼓動が激しく高鳴って。女達がよく言う、「一度でいいから抱かれたい」という気持ちがなんとなくわかった。俺も女だったらきっとそう思っただろう。
そのコンサートに行って以来、胸の中をずっとくすぶるモノがあって。あの男にもう一度会いたいと…同じ土俵に立ってみたいと思っている自分がいることに気付き、俺は自ら彼の所属する芸能プロダクションJOYに履歴書を送っていた。そして見事オーディションに合格し、研修生としての生活がスタートした。俺は同期の中で、自分で言うのも何だが歌は1番上手かったし、ルックスもいい方だった。だからよく、「土方は1番にメジャーデビューだよ。」なんて言われていた。

そんな研修生活から1年程たったある日、社長に某高級ホテルのスイートルームに招かれた。デビューの話かとワクワクしながらついていったのだが、部屋に入るなりいきなりベッドに押し倒され、唇を吸われた。気持ち悪くて抵抗すると、社長は俺にとって信じられない事を囁いてきた。
「わかっててついてきたんだろう?デビューしたいなら大人しく抱かれなさい。」
よく俺の歌を褒めてくれていた社長が、躯目当てだったと知ってショックであったがそれ以上にムカついて。俺は目の前の野郎を思い切り蹴飛ばし、部屋から飛び出したんだ。
しかしその後も事あるごとに社長は俺を抱こうとした。いくらデビューして憧れの人と同じステージに立つ為といっても、躯を差し出すことはどうしても出来なくて。第一経験がなかったし、そういう行為は好きな人とするものだとずっと思っていた。まして男である俺が同性の野郎に組み敷かれるなんて、絶対に有り得ない事だった。


―こうして当時13歳だった俺は社長に歯向かいズルズルときて、気付くと研修生活4年目に入っていた。同期で既にデビューした奴もいたが、ソイツが社長と躯の関係をもったんだと思うと吐き気がする程気持ち悪くて。俺も今年で16、高校2年だから、進路を変えるなら今しかないなと考えていた矢先だった――ずっと追いつづけていた人、高杉晋助に声をかけられたのは。
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