土方受け

□土方受けは必然という名のもとに…
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「土方ってさ…本当マゾだよな。」


「はい…?」


見回り中にも関わらずプラプラしていた男にいきなり拉致られ、連れてこられた万事屋の家で…1番最初に言われた言葉がこれだった。


「テメェ…喧嘩売ってんのか?」


「ヤダな〜土方さん…すぐにキレるその癖、なんとかならねぇんですかぃ?」


「「………!!???」」


声のした方を振り向くと、襖によりかかりながら苺牛乳を飲む総悟がいた。


「お前、見回りの途中で何サボってやがんだァ!?」


「旦那ァ…コイツ何で自分が受けかわかってねぇみたいなんで、今から躯に教えこんでやろうと思うんでさ。だから、返してもらいやすね?」


総悟はそう言うなり部屋に入って来て、俺の腕をぐいっと掴んだ。…ッて、俺の言葉無視してんじゃねぇよ!!


「沖田くん…まぁ、何で君がここにいるの?とか、何で人ん家のモン勝手に飲んでんの?とか聞きたいけど、それは一旦置いておくとして…土方は俺が調教するから、君だけで帰ってくれないかな?」


総悟が掴んでいる方とは逆の腕を掴んで、万事屋は怖い程の笑みを浮かべていた。


「さっきから聞いてりゃ好き勝手言いやがって…俺は普通だ!!このどSコンビが!!」


「例えお前が普通だとしても…世の中にSが蔓延る限り、お前は必然的にMってことになるんだよ。」


「「「……!!!???」」」


男2人に両腕を掴まれながら視線を上に向けると、屋根裏から忍びのように降りてくる人影が見えた。


「土方…俺がお前を壊れるくらい抱いて満足させてやる。だから共に来いよ。」


(出た〜〜〜!!!)


ある意味1番理解に苦しむ奴が来やがったァァアアア!!!


「高杉お前さぁ、空気読めや。コイツは銀さん一筋なの。もう俺以外の男なんて眼中にねぇんだよ。」


「今日の所は見逃してやりまさァ…だから早く消えろや片目野郎が。」


万事屋が木刀を、総悟が真剣を構えたのが横目で見えた。


「ククク…2人してこの俺がそんなに怖いのか?土方を素直に渡さなかったこと、後悔させてやるよ。」


高杉までもが刀を抜き出して…異様な空気が流れていた。


「「「いざ尋常に勝負!!!」」」



「待て待て待て〜!!!」


今にも刃を交えそうになった3人の間に慌てて割って入った。


「土方、俺の身を案じてくれるのは嬉しいけど…」


「男にはやらなきゃなんねぇ時ってのがあるんでさァ。」


「だからお前は黙って見ていろ。男の勝負をな。」


―なんかカッコよく3人で決めてるけど…俺も男なんですけど。


「一応聞いておくが…何のためにお前達は刀抜いてんだ?」


「「「土方の貞操を護ってその後で美味しく戴く為に決まってんだろうがァァアアア〜!!!」


「やっぱテメェら殺り合え!!そして共倒れしちまえ!!!」


馬鹿馬鹿しくなって出ていこうとしたのだがそれは許されず…


腕やら脚やら胴体やらを掴まれて、どこからか取り出してきたロープでグルグルに拘束されてしまった。


「土方、いい加減諦めろよ。お前は紛れも無いM男だ。」


「強がった所で本心では無茶苦茶にされたいくせに。」


「そうだな…なんたってお前は‘とってもH’な野郎だからな。」


‘とってもH’な野郎だァ?



「おい何だ、その‘’は?まるで俺の代名詞みたいじゃねぇかよ?」


「え…?今更ナニ言ってんの?」


万事屋はさも驚いたように俺を見た。


「土方十四郎…T.H…このイニシャルは‘とってもH’の略以外に何があるんですかィ?」


な、何だそれぇぇえええ!!???


初めて聞いたわッ!!


「じゃあ何だ!?総悟はS.Oだから‘相当お馬鹿’って事かよ!?」


「惜しいな…沖田の場合は‘王様級にS’って事だ。」


王様級にSって何だよ!?意味わかんないんですけど。


「で、万事屋の旦那が‘ギガントS’、高杉の野郎が‘とてつもなくS’って事なんでさァ。」


「つまりSの要素がないのは君だけなんだよ土方くぅん」


どや顔の3人を前にして、最早何も言葉が出て来なかった。


「…という訳で、今から勝負して土方君が誰のモンか決めてくるから。」


「そこで縛られながら待ってろィ。」


「まぁ俺が勝つに決まってるから覚悟決めとけよ、土方ァ」


好き勝手言いながら、野郎共は万事屋を出て行った。


(………………。)


って、なにこの状況ぅぅううう!?


「おい、コラ!!せめてロープ解いてから出てけや!!」


この声は奴らには届かず…


俺は買い出しから帰って来た眼鏡により助けられたのだった。
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