本編小説

□daphne odora(沈丁花)
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朝が明けるにはまだ早い、薄暗がりの気怠い時間、布団のぬくもりに夢とうつつを行ったりきたりして惰眠を貪っていた俺は、ひとつ寝返りを打っただけなのに。

アイツは起きてしまったのか?または起きていたのか。


『なぁ‥‥景吾‥‥もっかい‥‥エエやろ?』


と昨夜の甘い吐息の余韻を引きずるように耳元に誘いをかけてくる。

俺は、思考が回らないだけでなく、あの熱い血潮がまだ冷めず、アイツの手のぬくもりや肌をなぞりさざめくアイツの手際や包み込む抱擁にすべてを委ねていた。


そして、少しばかり残る下肢の違和感さえも愛しくて、またあの激情で貫かれるなら、いま‥お前がどうしたいかなんて敢えてモーションをかけずとも、コトを進めて構わない。

目を瞑ったまま、身動ぎひとつ、お前に甘える仕種で首筋に鼻先を擦りつけて、アイツの首ねっこに重い腕をなんと動かして、猫のように纏わりついた。


それをアイツは了解を得たとばかり

『なぁ…景吾‥‥いきなしやけど‥‥もう‥‥入れてエエ?』


と俺の‥髪の生え際、おでこ、まぶた‥ほほ、鼻先、耳朶、唇、喉仏、鎖骨‥‥へとキスの嵐で俺を覚醒させる。



『んぁっ‥‥』


しっとりとしたナカへアイツは指先でも入れたのだろうか。

ぐるぐると俺の敏感な内壁を探り、俺を追い詰めてきた。

『ンッ‥‥』


胎内でヒクヒクと収縮する俺はアイツの指を飲み込み、まだまだ足りないとばかりに要求していた。

だが、ソレは無意識の俺。


意識がある中でそんな風に求められても、お前には何もやれない。


吐く息は水魚が酸素を求めるように彷徨い、泳ぎもがいて、それはいつしか甘い喘ぎに変わる。


『景吾んナカ‥‥あったかいわ‥‥』




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