憲法を知る。

□哀しき人からの手紙
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この国の人々は天皇だけがすべてだと云っております。

この国を大きく強くすることこそが、われらの幸福をもたらすと。
天皇の仰せられること、誤りは無かろうとは思っております。

戦場に向かうあなたの背中は常よりも一層頼もしく輝いて見えました。
駅のホームで手をふるあなた。名誉ある門出だと分かっておりました。

けれど、私は此の時ほど頭と心の別に付いている事を
憎々しいと思うことはございませんでした。
あなたの背を見ると、あとからあとから涙があふれて、どうすることもできないのです。

あなた、わたしのあなた。

大切なあなたの晴れの日に、涙ばかりでの見送り、申し訳なく思っています。
どうか、どうか。立派にやっていてください。
もしあなたが満州か、ビルマか、御国へ命を奉げることとなった時には
蛍でも、蝶でも、風でも構いません。私の元へ帰ってください。

そうしたら私はまだ小さい我子を抱えてでも
強く、強く。暮らしていけると思うのです
もしあなたが生きて帰っていただけるならば…
それに勝る幸せはございません。

いとしいあなた。このようなことを願うのは、許されぬことと思うております。
しかし、願うことを止められないのは
あなたにもう一度会いたいという、それだけなのです。

風が吹くたびに、雷の鳴るたびに、あなたが居てくれればと、…

愛するあなたへ。







たとえばこの悲劇を防ぐことの出来ることがあれば
もしそれを知っていたなら…
あなたとわが子を守るためならば 私はこの一生をかけて
それを守りたいと思うでしょう
わが子には、愛する人とひきさかれる哀しみを味わって欲しくはないから…

それは、私一人ではなく
きっと、世界中の人々の願い
母親の願い 父親の願い 子の願い
人から争いの心、哀しみの心が消え去ることはないから、だからこそ
私は愛したい


第9条 【戦争の放棄、戦力の不保持・交戦権の否認】
@日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と武力による威嚇 又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては
永久にこれを放棄する。
A前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。


9条は、戦争することは愚かで、残酷だと知った
日本国民の不戦の誓い。

ろうそくに灯りをひとつひとつ 灯すように
人の心にも 平和の灯りを
哀しみを照らして 影をやわらげるように
争いの闇から 遠ざけるように
傷をあたためて 癒すように
ほら、あなたも…
人を愛することと 同じように
心に、宿る
 

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