神夜姫組曲
□03 一次試験終了
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湿原に到着して早々、受験生達は混乱していた
その理由が―
「そいつはニセ者だ!!試験官じゃない。オレが本当の試験官だ!!」
そうサトツを指差し言った男の所為に他ならなかった
「ニセ者!?どういう事だ!?」
「じゃ、こいつは一体…!?」
「これを見ろ!!」
追い討ちをかけるように男が出したのは、ヌメーレ湿原に生息する人面猿という人肉を好む猿だった
手足が細長く、非常に力が弱いために自らが人間に扮して、言葉巧みに人間を連れ込み、他の生き物と連携して獲物を捕るのだそうだ
それなら男が猿だともとれるが、混乱している受験生に正しい答えは見いだせない者も多いだろう
よく考えれば、ハンターともあろう試験官が、たかが猿ごときに負けるはずはないのだから
それを立証するかのように、男とサトツにトランプが飛び、男は顔に突き刺さり絶命し、サトツは全てを受けとめた
トランプを投げたのは、言わずもがなヒソカである
「くっくなるほど、なるほど」
男が死ぬと、死んだふりをしていた猿が逃げようとするが、祈李がナイフを投げて仕留める
「おま、…ナイフなんて何処に持ってたんだよ」
『え?リュックの中』
「これで決定そっちが本物だね」
祈李が思ったのとほぼ同じような事をヒソカが言い、サトツに次から試験官への攻撃は、即失格になるとの注意を受けていた
男の死体は鳥に食われていた
「自然の掟とはいえ、えぐいもんだぜ」
初めて見るならばそんな感想が出てくるだろう
祈李はもう慣れてしまっているから、何とも思わないが
「私をニセ者扱いして受験者を混乱させ、何人か連れ去ろうとしたんでしょうな。こうした命がけの騙し合いが日夜行われているわけです」
何人かは騙されかけて、私を疑ったんじゃありませんか?
そう問うサトツは当たっているだろう
現にレオリオは何とも言えない顔をしている
「それでは参りましょうか、二次試験会場へ」
そうしてまたマラソンが始まった
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