聖者の行進

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『やっほーピオニー!元気してた?』


今ラゼルはマルクト帝国首都グランコクマのピオニー陛下の城に来ている

因みに此処は謁見の間ではなくピオニー陛下の私室である

うん、何時も通り汚いね
ブウサギは今日も元気だ


「お前…何してんだ…」

『え?何って遊びにだけど…それ以外もあるよ』


驚いた表情のピオニー陛下は面白い

いやーアポなしで来るのって楽しいね!


『そろそろアクゼリュスヤバイかなって思ったんだけど』

「あ?何で知ってんだ?」

『ひーみーつ♪』


笑顔で言えば呆れたようにため息をつかれた

失礼だな!


「マルクト側の街道は障気が充満し始めてるからな…」

『ふーん。でもさ障気障害出たらヤバイよ?』

「あぁだからキムラスカに頼むんだ」

『?』

「キムラスカと和平を結ぶ為にジェイドをダアトにやったんだよ」

『イオンの力を借りるのね』

「お前でも良かったんだがな…」


あはは、残念
私はダアトにはいないからね

いや、私の導師守護役はいるけどね

意味ない?その通りさ!


『ん〜あのさピオニー、キムラスカに手伝って貰う前に少しは動かない?』

「だからこっち側は…」

『わかってるよ!だから私が力を貸してあげる』

「本当か?」

『勿論。だから私のお願い聞いてくれる?』


わかったと頷くピオニー陛下に満足気に笑いながらまずはこちらのお願いを言った


『今エンゲーブ近隣のチーグルの森にね、ライガが住み着いてんの』

「は?本当か?」

『嘘言わないから。でさ、こっちでどうにかするから手出さないで欲しいんだよね』


そう告げると不思議そうにするピオニー陛下

理由も仕方ないから教えてあげよう


『そのライガは教団に関係あるからさ、お願い』

「エンゲーブに被害がないならそれでいいぜ」

『さっすがピオニー。まぁもうアリエッタを行かせたから大丈夫だと思うよ』


本当の理由はライガクイーンがアリエッタのママだから

ライガの子供は人肉を好むから卵が孵ったらエンゲーブを襲うだろう

そしたらエンゲーブも壊滅、ライガはマルクトで討伐される

良いことなしだ

事の発端はローレライ教団が聖獣としているチーグルが原因のようだし、助けないとね

さて、こっちのお願いは通ったからアクゼリュスだ


『街道の障気は押さえたから今なら行けるよ』

「はっ?!どうやったんだよ?」

『私を誰だと思ってんの?』


まあ元を断たねばなんとやら

その内障気は復活するだろうから今のうちに住民を避難させるようにピオニーに進言すると彼はあっさりと了承した


『こっちからもう人は送ってるから』

「助かる。こっちも兵を送ろう」

『撤退の時期とかは私が指示した通り従ってもらいたいんだけど』

「ならアスランのとこにすっか」


そんなこんなで話はまとまった

さて、帰ろうと思って席を立つとピオニーに呼び止められた

そして渡されたのは


「親書だ」

『はい?』

「届けて欲しいんだよ。お前も和平に協力しろ」

『…めんどい』


でも預言を回避するにはいいかもしれない

回避できるなら回避すべき事もある


『…まあいいわ。暇潰しにやってあげる』

「助かる。ジェイド達はエンゲーブにいると思うぜ」

『はいはい。じゃあまたね、ピオニー』


別れを告げて城を後にした

グランコクマを出て人が通らないであろう茂みにがさがさと分け入る


『ユニ』


呼ぶと純黒の魔物が舞い降りた

古代イスパニア神話に出てくる聖なるものユニセロスだ

いつ見てもその姿は美しい

本来ユニセロスは純白なのだがこの子は突然変異のため色が違う

大怪我をしていたのを助けたのが出会いである


『エンゲーブ…うーん…やっぱりチーグルの森までお願いね』


ライガクイーンが心配だった

アリエッタのことだからちゃんと説得しただろうがマルクト兵達がエンゲーブにいるとなると厄介だ

しかもジェイドだし

ユニセロスは体勢を低くして乗りやすいようにしてくれる

ありがとうと言い背に乗るとユニセロスは空へと駆け上がった





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