不協和音
□01.夜明け前の騒動
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ゴッ
鈍い音が夜の静まりかえった公園にこだました
奥村燐が喧嘩相手のこめかみ近くを殴った音である
「ゲホッ、ゴホッ」
「ひぃぃ」
「ヤベェこいつまじでヤベェ」
「悪魔だ、いこーぜ!」
怯えたようにそう言い、少年達は車で逃げるように立ち去った
一人残った燐の足元には、足を切られた鳩の死骸が散乱している
「誰が悪魔だ
てめーらの方がよ」
『よっぽど悪魔だよね』
言葉を遮られた燐は少々ムッとしつつ、声のする方を見た
「聖」
『あーあ、またケンカ』
「やっぱし怒られんのかな…」
『私は言わないよ』
どうせバレるし、
と聖は声には出さず呟いた
空が少しずつ色づきはじめる
「…なにやってんだ俺…」
『血、拭けば?』
一人呟く燐に聖はハンカチを差し出した
(サンキュー聖)
(どーいたしまして)
(…お前さ、いつから見てた?)
(ん〜と、燐が不良に声かけたトコから)
(つまりは最初から)