不協和音

□01.夜明け前の騒動
1ページ/1ページ


ゴッ

鈍い音が夜の静まりかえった公園にこだました

奥村燐が喧嘩相手のこめかみ近くを殴った音である   
「ゲホッ、ゴホッ」
「ひぃぃ」
「ヤベェこいつまじでヤベェ」
「悪魔だ、いこーぜ!」

怯えたようにそう言い、少年達は車で逃げるように立ち去った

一人残った燐の足元には、足を切られた鳩の死骸が散乱している

「誰が悪魔だ
てめーらの方がよ」
『よっぽど悪魔だよね』

言葉を遮られた燐は少々ムッとしつつ、声のする方を見た

「聖」

『あーあ、またケンカ』
「やっぱし怒られんのかな…」
『私は言わないよ』

どうせバレるし、
と聖は声には出さず呟いた

空が少しずつ色づきはじめる

「…なにやってんだ俺…」
『血、拭けば?』

一人呟く燐に聖はハンカチを差し出した 



(サンキュー聖)
(どーいたしまして)
(…お前さ、いつから見てた?)
(ん〜と、燐が不良に声かけたトコから)

(つまりは最初から)


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ