不協和音

□03.嗤う青焔魔
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あぁ、どうして嫌な予感というものはこうも的中してしまうのだろう…


何かに追い立てられるように、早足で燐を連れ帰ってきた獅郎は修道院の一室に入っていく

二人に続いて聖も部屋に入った

「取り敢えず、この修道院を出ろ」
「出ろ!?」
『!!』

やっぱりこうなってしまった
修道院を出ろ、ということは燐は悪魔として覚醒したのだ

悪魔の子、それも魔神の落胤として…

荷物を詰め込んだカバンを燐に投げ、獅郎は首から鍵をはずした

「これは゛神隠しの鍵゛」
『如何なるものも、如何なる場所に隠すことができる』

聖が言うと同時に引き出しを開けた

中に入ったいたのは゛降魔剣・倶利加羅゛

抜けば燐は人間としては、生きられなくなる
絶対に抜くな!しかし肌身離さず持っていろと獅郎は念を押した

「修道院から出たら携帯ですぐ電話をかけろ

番号を一件登録してある
俺の友人の番号だ」

話しを聞きながらアレを友人と呼ぶのか…と関係の無いことを考える聖

「今までと同じ生活とはいかねぇだろうが…

保護してくれるはずだ

聖、後は頼む…
行け!」

『わかった
行こう、燐』

聖は燐の手をとり行こうとしたが、その手は燐によって振り払われた

「知らねーよ!!!」
「『燐ッ』」

「な…なんなんだよ急に…
悪魔、悪魔って…
まさか本当に悪魔とかどーゆー冗談だよ!!」
『それは…』

雪男はどーなってんだ!と言う燐に獅郎は説明をする
燐と雪男は双子だが、炎は燐だけが継いだこと

燐を人として育てたかったこと
人である限り育てる条件だったこと

全てはお前を守るためだと必死に説明する

「守る…!?
結局放り投げんだろ!
綺麗事いうな!!」
『燐!違う!!』

「うるせぇ!!
どーせ他人だもんな…

俺は雪男とちがって問題ばっかでずっともて余してきたし…

親子ごっこなんて、もうやってらんねんだろ
正直にいえよ!」

違うのに
本当に燐のためなのに
それは燐に伝わらない

いきなりのことだ
混乱しているのもあるだろう

そして、燐は言ってはいけない事を言ってしまった

「二度と父親ぶんな!!」
パン!!
と乾いた音が響いた
獅郎が思い切り燐の頬を叩いたのだ

「…言い争ってるヒマはない

大人しく言うことをきけ!!」
「…解った」

燐はカバンと剣を拾い上げ、獅郎に背を向けた

『先生…』
「大丈夫だ
お前も行け…!!ぐむ」
『先生!?』

「!?…なんだよ」

突然胸を押さえてうずくまる獅郎

「あ…しまった!
俺としたことが…!」
『そんな…先生!』

駆け寄ろうとする聖を獅郎は制した

『っ…』
「…??どうしたんだよ…」

「行け!!」

立ち止まる燐に行けと言う
瞬間、証明が割れ、破片が飛び散った

「そのまま…早く
俺から離れろ!!」

崩れ落ちる獅郎に燐は駆け寄る

『燐!駄目!!』

「ほっとけるかよ!
おい!しっかり…」


あぁ、悪夢ならば誰か目を覚まさせてほしい…


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