不協和音

□05.正十字学園
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昨日の雨が嘘のように青空が広がっていた

メフィストが呼んだ趣味のよくわからないピンクの長い車に燐と雪男と乗り込んだ

雪男は本を読んでいるし、燐は難しい顔して黙っていて正直つまらない

「いやいや、それにしても貴女にこんな所で会うとは思いませんでしたねぇ」

『できれば会いたくなかったわ』

つれないですね。とぼやくメフィストを無視し、窓の外に視線を移した

徐々に見えてきた学園は思っていたよりも大きかった
『(ま、全寮制だしあたりまえか)』

あらゆる学業施設が集約された正十字学園町の中心、それが正十字学園だ

「すぐに入学式が始まります」

大講堂に向かって下さいと告げるメフィストに雪男は礼を述べ車を降りた

次いで降りようとした燐をメフィストは竹刀袋を引っ張って車内に戻す

「制服を忘れていました。
車内で着替えてください」
『あれ?燐制服じゃなかったの?』
「ちげーよ。…ったく、今ごろなんだよ…」

先に降り、雪男と燐を待つことにした

「聖は兄さんのこと…」
『先生が亡くなったのは燐のせいじゃない』

「…まだ言ってないよ」

『ん?その話だと思ったんだもん。あ、燐』

制服に着替えて車を降りた燐と雪男を連れて大講堂に向かった

「はぁ〜緊張してきた…」
「なにが?」
『ただの入学式だよね?』
「そうなんだけど…」

歯切れの悪い雪男の返答に小首を傾げた

後でこれは新入生代表で登壇するためだったと発覚した

『さすがだね〜』
「そうだな」

入学式に飽きて燐とヒソヒソ話していたのは内緒である

入学式後、女の子たちに囲まれている雪男がたじたじしているのを見ながら燐について外に向かった

▲▽▲

「お待たせいたしました」
ウインクしながら登場したメフィスト

はっきり言おう、気持ち悪い

「聖さん、失礼ですよ」
『あれ?口に出てた?』

「えぇ思いっきり」

くだらない会話をしていると燐が痺れを切らし祓魔師にはどうすればなれるか訪ねてきた

『ペイジになるんだよ』

「こらこら聖さんそれではわかりませんよ」
やる気満々なのはいいことです、とメフィストは続ける

祓魔師になるためには、まず塾に通うということ

ここで燐は反応した
まぁ勉強嫌いだから仕方ないね

祓魔師の塾でまず゛祓魔師訓練生゛として悪魔祓いを学ぶのだと

塾は今日が初日でメフィストが案内してくれるらしい
「ただしひとつ警告です」
燐を指さすメフィスト

「貴方がサタンの落胤であることは秘密です」

『尻尾は上手く隠してるから大丈夫でしょ?』
「まぁ耳や歯、尻尾は誤魔化せますからね」

しかし、炎は違う
シャレにならないから自制しろと釘をさした

「努力するよ」
「…結構です」

やや心配らしく、今回は見学するらしい
…いなくていいのに

メフィストが指を鳴らすと彼の姿は犬に変わった

「では参りましょう☆」

メフィストが犬に変身したことに余程驚いたのか燐はしばらく固まっていた

『祓魔師は変身できないからね。ほら、いこ?』

燐の手を引いて先導するメフィストについて行く

「そうだ゛塾の鍵゛を差し上げましょう」

何処から取り出したのか、メフィストは鍵を二本くわえていた

何でも、いつでも何処の扉からでも塾へ行ける便利な鍵だそうだ

一本ずつ受け取りすぐ近くにあったドアの鍵を燐が回した
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