不協和音

□08.ライバル!?
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「スキヤキ!?」

何がだ、とツッコミたいが今は授業中なので堪える聖

いきなりのことに隣のしえみはビクッとしていた

奇妙な寝言に出雲や朔子は笑っている

そんな中燐を睨み付ける鶏冠みたいな髪をした男子

そこだけ空気が違っている

ちらりとそちらを見てから燐は教科書に目を戻した

『(1…2…3…)』

「フフフ…」

燐が夢の国に旅立って気持ち悪い笑い声を上げるまではだいたい三秒でした

▲▽▲

悪魔薬学の時間はこの間の小テストを返すそうだ

名前を呼ばれた生徒はテストを受け取りに前に出る

しえみは自信があるらしかったが結果はよくなかったようだった

「白雪さん」

『はーい』

受け取ったテストは満点
ま、当然かな

「奥村くん」

燐のテストを見ると…2点

『燐…どうする気なのそれ…』

「そういうお前はどうなんだよ」

勝手に見たのも悪かったし、見られて困るものじゃなかったので聖はテストを見せる

「聖、頭よかったのか…」

少々肩を落とした燐を慰めながら席に戻った

次に呼ばれたのは燐にガンとばしていた男子だった

勝呂というらしい

「2点とか狙ってもようとれんわ。女とチャラチャラしとるからや。ムナクソ悪い…!」

勝呂は言うだけ言うとテストを受取に行った

『(女とチャラチャラの女って多分私だよなぁ)』

後はしえみだろうか
どちらにしろそれは勉強とは関係ない

ただ単に燐は頭が悪いだけなのだ

戻ってきた勝呂は勝ち誇ったように98と書かれたテストを見せてきた

そのまま何故か燐との口喧嘩に発展し、勝呂の友達2人と雪男が止めに入っていた

休み時間聖は燐と雪男、しえみと噴水のある広場へ来ていた

燐と口論になった彼は勝呂竜士

京都の由緒あるお寺の跡継ぎだという

しかも成績優秀、身体能力も高く授業態度も真面目

兄さんよりは努力家だと言う雪男の言葉が燐にチクチク刺さっていた

『それよりさ、しえみは塾に慣れた?』

「え!?あ…ま…まだ全然…」

もともと内向的な性格なのかしえみは積極的に他の生徒と交流していない

それでも昔に比べたら見違えるようだと言う雪男にしえみは礼を述べた

雪男が授業のためいなくなると沈黙が流れる

「燐、聖ちゃん…私が塾にいるのってやっぱりおかしいよね」

しえみは祓魔師を目指しているわけではない

『色んな人がいていいと思うよ?』

「うん…あのね!」

「おーおーおー。イチャコラ、イチャコラ…!!」

しえみが何か言いだそうとした瞬間、お邪魔虫三人がやってきた

どこの不良の絡みかただと言いたい

『何か用?』

「なんやその娘らお前の女か?」

あからさまに燐に喧嘩を売っている

というより勝呂の言い方が頭にくる

「世界有数の祓魔塾に女連れとはよゆーですな〜?」

「そーゆーんじゃねー!関係ねーんだよ!」

そうだそうだ〜と心の中で燐に賛同しておく

勝呂はニヤニヤと嫌な笑い方をしながら友達か?と聞いてくる

しつこい
そしてウザイ

そんなこと言ったら違うって言うに決まってる

案の定燐は友達じゃねぇと言い放った

しえみはしゅんとしてしまっている

『大丈夫だよ、しえみ。少なくとも私は友達でしょ?』

小さな声でしえみに言えば大きくうなずいてくれた

「テメーだって…!いっつも取り巻き連れやがって!!身内ばっかで固まってんな!カッコ悪ィーんだよ!!」

その言葉に吹き出したのはピンクがかった茶髪の少年だった

取り敢えず、燐と勝呂は似ているらしい

同族嫌悪というやつだろう

変に口出しするのは止めとこうと思いことの成り行きを見守った




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