聖者の行進
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「そういや、ジェイドは使えないんだよな、第七音素」
「ええ、残念ながら」
と、後ろにハートマークでもつきそうに言ったジェイドは、まったく残念そうには見えない
「ですから、第七音譜術士はとても貴重なんですよ。絶対数が少ない」
ティアは頷いた
「預言を詠む預言士、それに治癒士も第七音譜術士よ」
「要するに、特別な音素を使える、特別な譜術士って事か……」
特別な譜術士…か
絶対数が少ないと言っても、私もそうだしロキもそうだ
と言うかイージスに属する者はだいたいが第七音素を扱う素養を持っている為、貴重と言われてもよくわからないのが本音だったりする
「……ごめんなさい」
不意にティアがルークに謝った
「な、なんだよ。どうしたんだよ、急に。おかしな奴だな」
「私…貴方の記憶障害の事、軽く考えていたみたい。今まで私、貴方に意地の悪い事ばかり言っていたわ。本当にごめんなさい」
「べ、別にそんな…」
どう返していいかわからずルークはたじたじしている
「失礼します、ルーク様はこちらでしょうか」
ナイスタイミングで入ってきた兵士にルークはあからさまにホッとしていた
兵士は失礼します、と中に入り一礼した
「ルーク様、グランツ謡将がお呼びです」
「ヴァン師匠が?」
ヴァンが、か
何かありそうだ、と思いティアを見るとラゼルと同じく疑わしげな表情を浮かべている
「はい。甲板でお待ちください、との事です」
「わかった、すぐ行く」
ルークは椅子を立つと、そういうこったから、と言って船室を逃げるように出た
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