部活

□陸上部×スピードスター
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「ちょっと!!謙也どうしたの!?」


腕から手のひらへと握り直す。


手、繋いでるみたいでドキドキしてきた。





グラウンドに着くと陸上部はすでに片付けを終えて帰り始めてるみたいやった。




部長は湊の姿をみつけると駆け寄ってきた。




「湊、どこいってたん?心配したで。」


爽やかに笑ってたずねる。



そして俺らの繋がれた手を見て顔をしかめた。


「忍足謙也、やな。テニス部に速いやつがおるって有名やで。」


『おおきに。』




「謙也は部長に話があったの?」

湊は首をかしげる。



ほんまかわええわ。




自然に湊が俺の手を離す。







その瞬間、部長は得意げな顔になった。


「なんや忍足。湊とられるん怖くなったん?」










『…とられる?何言っとるんや。



湊は誰にも…誰にも渡さへん!!』







「せやったら湊をかけて勝負せえへん?グラウンド一周、先帰ってきた方が勝ちや。」




『負けた方が身を引く…ってことでええんか?』




「決まりやな。」




絶対負けへん。


湊の方を見る。



…湊?



どこ行ったんあいつ!!






と思ったら片付けを手伝っていた。




部長が湊に向かって叫ぶ。




「今から忍足と一周勝負するから応援してやー!!」





「はーい!!

部長頑張れー!!」



ずるいわ。


そう思った瞬間。





「謙也も頑張れー!!」




ほんまにあいつ、こーゆーの狙ってやっとるんやないかと思った。





ムッとした部長。


「湊ー!!俺が勝ったら俺と付き合ってや!!」

とんでもないこと言いおった



「部長!?えええええ!?」


顔を真っ赤にする湊。

近くにいた女子生徒がショックのあまり悲鳴をあげた。




そういや人気やったな、陸上部の部長。




負けられへん。


そんなこと考えながらぼさっと立ってる俺のもとに知らない間に湊が駆け寄ってきていて、




「謙也、耳かして。1回しか言わないから。」






『なんや?』







「――――――――」












囁かれたんは約束。








やっぱり負けられへん。






湊を、誰かに譲るとか無理やで。
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