部活

□演劇部×絶頂
4ページ/7ページ



目覚めたのは保健室。


心配そうな顔の部長と白石が目にうつった。



「すまん、ホンマにごめんな。」

白石が必死に謝った。


『何が?あんたになんもされてないよ。』

そう言って笑うと白石はもう一回すまん、と言った。

部長は言いにくそうな顔をして、私の足が捻挫していることを告げた。

「劇の当日までに治らんらしいねん。」


分かるよ、だって凄く痛い。


部長は優しいからなかなか言えないけど、

代役が必要だって言ってるんだよね。


『うん、変わりの人にっ…、誰か変わりの人にお願いして…。まだ、きっと間に合うから。』


声が震えたけどなんとか笑顔で言えた。


「本当に、ごめん。」

部長も悪いことしてないのに謝って泣きながら出て行ってしまった。



『ね、白石。もう練習戻っていいよ。』



「嫌や。」


『ど、して…』



「だって湊、俺が出てったら泣くんやろ。独りで。」







まさにその通りだったけど。

その予定だったけど。





突然抱きしめてきた白石に、涙が止まらなくなってしまった。




せっかくゲットできた主役、だから悔しいの。


ずっと憧れてたお姫様だから悔しいの。




本当にそれだけだったのかな。














劇の中だけでも、演じてる間だけでも、私は


あなたのお姫様になれるはずだった。



あぁそっか。

私…









気づいちゃって、もっと泣いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ