部活
□卓球部で白石
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自分が何を期待したかなんて分かんないけど、とにかく今日の白石は何もしてこなかった。
確かにそんな空気じゃなかったけど。
『あのさ、白石。』
体育館から去っていくミルクティー色の髪に背後から声をかける。
「なんや?」
『白石、は…わたしのこと…』
あれ、なんかがつっかえて、言えない。
『し、しらいしは…、』
目の奥がじんじん熱くなって、胸もどんどん熱くなって、
恋、してるみたいだ。
違うよ。
ちょっと前に隣のクラスの佐藤くんが好きだった時はこんな感じじゃなかった。
『…っ、』
目の奥の熱いのが雫になって溢れ出した。
『わたし、白石がっ…、』
ギュッてTシャツを握った。
『白石の、こと…、考えるとっ、』
顔を下に向けて絞り出すように言った。
『苦しいよ、』
ボロっと零れた涙。
「すまんな。」
そう言って頬に触れた手。
「振りまわして、ごめんな。」
『じゃあ、』
¨私が好きなわけじゃないの?¨
そう言おうとしてた唇を塞がれた。
そういえば
口にされんの、はじめてだ。
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