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□財前くん
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「光が好きなの。」
一つ上の先輩に告られた。
テニス部のマネージャーで、ちっさくてアホで、つい目が離せなくなる人。
たまに一緒に帰ったりしてたし、 部活中もたくさんはなした。
周りも認めるくらい仲がよかった。
だから、俺は困ってるんや。
こんな素敵な人の告白を断る理由なんてどこにもないから。
だから断れない。
ほんまに俺は性格が悪い。
「どうして、」
「え?」
「どうして俺を好きになったんですか?」
頭に浮かんだ疑問をそのままぶつけてしまった。
「光、優しいから。」
嘘や。
俺は優しくなんてない。
だってこの大好きな先輩をふるための口実を必死に考えているんやから
「ひかる…私じゃ駄目かな?」
ダメなわけない。
ほんまに俺のタイプや。
話してて楽しい。
だけど、
「すんません。忘れられない人がおるんです。」
「え?」
「自分勝手で、俺の事なんてきっと何とも思ってないんですけど…。今だって、ほんまに大好きな先輩からの告白だってのに、
そいつが頭ん中チラついて離れないんすわ。」
俺がそういうと、先輩は泣きそうな顔でゆっくり笑うと何か言った。
そして走って俺の前から姿を消した。
その瞬間、携帯が鳴った。
表示されたのはあの人の名前。
あの人が卒業してから、一度も表示されなかった名前。
なんで、今…
『もしもーし。』
懐かしい声。
「…名前さん…?」
声が震える。
『そだよwひっさしぶりだねぇ、財前くん。』
「な、で…、なんで!!」
『おぉw我が愛しの財前くんはご機嫌ナナメかな?』
「…今、どこっすか?」
『どこでしょーか!!』
「はよ、教えてください!!ふざけんなや!!!!」
『そんな怒るなよー。ヒントは愛しの財前くんが可愛い彼女に告白されてる現場を上から見下ろせるところでーす。』
上、から…
「屋上っすか!?」
『はやくおいで。』
意外にも優しい一言が聞こえ、電話が切れた。
早く、早く行かなきゃ。