部活
□バドミントン×長身熊本弁
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「鈴木。」
『何?』
「むぞらしか〜。」
こいつは絶対に馬鹿だ。
毎日自主練で遅くなってる私のところにのこのこ現れる。
ちゃんと自主練をしてくのは何人かいるけど、鍵締め当番を引き受けてる私は必ずと言っていいほど帰りが一番遅い。
千歳は毎回何かわからない言葉を喋っている。
「テニス部に顔出すついでたい。」
いつもそう言うけど絶対嘘。
そもそもバドミントンは体育館で練習してるわけだから、テニスコートに寄るついでによるような場所ではない。
「むぞらしか〜!」
また言った。
『それ、どういう意味?』
私は自主練の手を止めて千歳の隣に座った。
「教えんよ。」
『あっそ。』
「知りたかったら調べなっせ。」
そこまでして知りたいとは思えない。
『ねえ、練習でないの?』
「鈴木が気にする事じゃなかと。」
だから、こいつが嫌なんだ。
私は断然、真面目に一生懸命頑張る人が好き。
『だから、嫌い。』
「知っとるよ。」
小さく呟いたけど聞こえてたみたい。
『じゃあなんでつきまとうの?』
なんとなく、もう気付いてるけど。
「そぎゃんこと、」
真っ直ぐ千歳を見るとバツが悪そうに顔を反らされた。
『私は千歳みたいに練習しない人より、頑張ってる人がいいの。』
「それも知っとる。」
そう言って私をそっと抱きしめる。
最初の方はすごく嫌で嫌で仕方なかったけど、抵抗しても無駄だと知って最近は大人しくすることにしてる。
『私、白石くん好きだなあ。』
ふと頑張ってる彼の姿を思い出し、呟いた。
「…。」
『あれ?怒ってる?』
挑発的に言ってみた。
「練習は終わったと?」
『え、あ。うん、そうだね。』
「送るばい。」
『うん、ありがと。』