短編集
□甘えんぼ謙也
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「みなとー!」
『わわ!謙也さん!?』
部活でマネの仕事をしていたら謙也さんに抱きつかれた。
「みなと可愛えなあ!」
逃げようにもがっちりと身体は固定されていて身動きがとれない。
『謙也さ、仕事中だから!』
「あかんの?」
あああああ謙也さんの上目遣い可愛い!!
『あああああかんの!!あ、いや違う!だ、だめで、す!!』
「ふっ、可愛え。」
ゴロゴロと甘えてくる謙也さんを剥がせずにいる。
『謙也さんも、練習、しなきゃ!』
「練習さっき終わってんで?」
唯一の逃げ道を断たれてもうどうしようもない。
『け、やさん!心臓、爆発する!』
必死に叫んだはずなのに耳元で、ドキドキしてくれとるの?なんて囁かれてもう本当に壊れそうな私の心臓。
「みなと、好きや。」
顔が真っ赤に染まっていくのがわかった。
『謙也さん…』
謙也さんと目があった。
「けええええんやあああああ!!!」
「白石!?」
「セクハラは犯罪や!」
「ちゃうわ!」
部長に怒られて謙也さんはおずおずと私から離れる。
私の心臓は安堵。
「また、明日な?」
にこっと笑いながらそう言われてまた心臓がうるさく鳴った。
本当に壊れるから!
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