短編集

□財前が素直じゃない件
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『ひか…今日一緒に、』

「謙也さん。今日一緒に帰ってくれますか。」


まただ。
光とつきあい始めてから光が冷たくて冷たくて。


「ざ、財前、みなとちゃんが…」

「あぁ、謙也さんはそんなこと気にせんでええですから。」

「お、おう。」


光にとって私は"そんなこと"なの?


悔しくって悲しくって、ぎゅっと唇を噛み締めた。


「みなとさん、」

突然光に名前を呼ばれ、もしかして!と振り返った。

『な、なに?』


「そこ居ると邪魔ですわ。」



………文句なんか言えない。


嫌われちゃうのが怖くて。

光に嫌われたくないよ。


ぐっと涙を堪えて、ごめんと笑って見せた。


そしたらすこし驚いた顔をされたけど、すぐ睨みつけられた。

…っ、やばい、泣く。


「みなとちゃん。」

『白石、』


「今日は俺と帰ろか。」


『え、』


「財前。ええよな?」


白石が光の方をむくと光は不機嫌そうな顔をした。


「みなとちゃん、ケーキ奢ったるから元気だそな。」

『え、ほんと!?』


ケーキ、かぁ…

しかもイケメン白石と…。

「な?行こか。」


『うん!』


差し出された手に素直に手を伸ばしたら手を掴まれた。



『光…?』





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