短編集

□財前がちっさくなる
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『え、白石。その子どこの子…?』


部室に入った瞬間、小さな子供が視界に入る。


「ああ、この子は財前の甥っ子や。」

『ええ!?』


にこやかに甥っ子くんを抱き上げながら白石が言った。


「部長!何言うてんすか!離せや!ふざけんな!!」


『可愛いーっ!』


甥っ子くんは白石の腕で暴れる。
光の彼女になってから何度か光の家に行ったけど甥っ子くんを見るのは初めてだ。


「あ、みなと。部活始まるまでこの子見とってな?」


『え、いいの!?』


「おん。オサムちゃんとこ行ってくるわ。」


『はーい!』


かっこよく微笑んでから白石は颯爽といなくなった


「ちょ、何言うてんすか!!!部長!」


足元で甥っ子くんが大騒ぎ。

『ね、お名前は?』


「ひかるや!財前光!恋人なんやから分かれ。」


『光は甥っ子くんのおじさんでしょ?』


「俺が光や!」


…可愛い…っ

だって外見はあの無愛想な光が小さくなった感じ。


もう愛しくて愛しくて…


『可愛いっ!』


抱き締めて抱き上げる。


「ちょ、なにすんねん!」


『可愛いー…。』



ぎゅうぎゅうしながらほっべにちゅーしてみた。


「え、大胆っすね。」


『発言まで光みたい!』


「だから俺が……」


何か言いかけて何かに気付いたように考え込む甥っ子くん。


『どうしたの?』


「おねーちゃん、もっとちゅーして?」


ええええええええええ!?


ななななななにこれ!

可愛い可愛い!


『いいよ、いいよ!』


「なあ、おねーちゃん俺と結婚する?」


『結婚はだめー』


「なんでや?」


『光とするから!』



そういうと甥っ子くんに唇をふさがれた。


「あーほんま可愛え。」

ちょっとびっくりしたけど子供だもんね!


『甥っ子くんのが可愛い!』



さらにぎゅうぎゅうしたらちょっと嫌がられた。


『あ!』


「どないしたん?」


『部活だから着替えなきゃ!』


「は?」



甥っ子くんを床に下ろすと制服からジャージに着替え始めた。


「な、なにしてん?」


『着替えなきゃだからちょっと待っててね?』


着替えを早急に終わらせて甥っ子くんを膝にのせる



『子供が産まれたらこんな心境なのかなあ。』


「…誰との子供?」

『わかんないよー!』


「光お兄ちゃんと違うん?」


『…あわよくば』


小さく呟くと甥っ子くんがニコニコと笑う。


「ほんま可愛え。」



『え、』



膝の上に乗せてた甥っ子くんがむくむくと大きくなり始めた。


『え、え、ええええええええええええ!?』


「あーやっと戻れたー」


『急成長おおお!!!』


頭がついていかずパニック状態。


「部長に変な薬飲まされたんすわ。」


『ひひひひかる!?!?!?』


つまり、

ぎゅうぎゅうしたのも
ちゅーしたのも
光と結婚したいって言っちゃったのも
子供欲しいって言っちゃったのも



『光だったのおおお!?』



「先輩大胆すわあ」


背後にあったロッカーに押さえつけられる。


「怯えんでもええですよ?先輩が望むなら結婚もしたります。」


『え、…んっ、ちょ、光っ』


キスで唇を塞がれ、苦しい。


「着替えとか、誰の前でもするんすか、」
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