短編集2

□変態うさぎ白石。
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「なまえちゃーん!」



やばい、来た。

長い耳をぴょんぴょん揺らしながらドアからこっちを覗き込んできたうさぎ。


綺麗なミルクティー色が視界でチラチラと動く。


やばい、来た(二回目)


ベッドに腰掛けたまま、ウサギを見て動けないでいた。




「どうしたん?ご主人様っ!」






















鳥肌タチマシタ













上目遣い(サマになってるのが狡い)で見上げてくるこのうさぎは、ウサギの皮を被った狼さん






「無視なんてええ度胸やなあ?なあ?」




『いや、無視したつもりは、』



「俺がイケメンすぎて固まってもうただけか、んー、絶頂ー!!」




『あ、いや鳥肌…』





ん?



『ナンデモアリマセン』



「ん、ええ子。」






頭を撫でながら、ベッドへと上がってくる。




頭の中でビーッビーッと鳴り響く警報。



__________
▽逃げる
・襲われる
----------

頭に浮かぶふたつのコマンド。



全力で上を連打した。











ぴょん、とベッドから飛び降りて腰掛けている蔵ノ介ウサギの正面に立つ。




「せっかく隣座ったんに。」




しょぼーんと耳を垂らす彼を見ると少し胸が痛くなる。




『あ、いや!逃げた訳じゃ…。』



「ほんまに?嘘ついたら今すぐ押し倒してピーピー鳴かすで」

『すみません嘘つきました逃げました。』







「はーん、逃げようとしたんか。」




へーそうかー、なんて言いながら私の両手をギュッと掴む。








………手、私より綺麗だな











『うわわ!!!!』




何もされないと油断していたら急に引かれた腕。



そのまま蔵ノ介くんが寝ころんだから、必然的に私が上に乗る。




「その程度で逃げた気になって、カワエエな。なまえちゃん?」




『ちょ、やだやだ!離してよ!!』



「あんまおっきい声出さんといてな?リビングに謙也も財前もおるから。」





なら止めてくれと心で叫ぶ。





『とりあえず、冷静に話そう!!ね?蔵ノ介くん。』



「じゃあ1回ちゅーしたら話きこか。」





近づいてくる顔に覚悟を決めた、その時。




ガチャ




「なまえ、白石おらんけどどこかしらん…か…、」




振り向くと何故かこんな時にノックをしないわんわん謙也





「うぬあああああああ!!!!!」



謙也は尻尾をぴいんと立てて威嚇したら真っ赤な顔をして部屋を飛び出していった。






「…。」





『蔵ノ介くんのばかばかばか!!!!!!』



「な、ばかって、」





『このアホうさぎ!!!!』



「ほー、言うてくれるやんか。」




ニヤリと笑ううさぎにまた警報が鳴り響く。



















変態うさぎ






















『ひかるうううううううううう!!!!!!たすけてえええ!!!!!』



「あ、コラ!財前呼ぶんやない!!」




「なまえさん!?うわ、ちょ!!なまえさんを離せや変態うさぎ!!」






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