短編集2

□あにまるみんなで暮らす
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「いい加減起きろっちゅー話や!!」



『うああ!!』



どすん!とベッドから落とされる。



『いてて…。謙也!!!!なにすんの!!!』

私の前に立ちはだかるふわふわの耳ともふもふのしっぽ。

名前は謙也さん。
ぱっと見普通の人間なのに、謙也さんには可愛い犬耳と尻尾がついている。

あと2人いるんだけど、3人とも訳あって一緒に暮らしている。


「さっさと起きひんのが悪いんや。」


ツーンとそっぽを向く謙也。

だけど尻尾はバサバサと動いている。



「わ!なんやこれ!!喜んでるわけとちゃうねんぞ!!」



必死に尻尾を隠す謙也が可愛くて思わず吹き出した。


『謙也可愛い。』


かぁっと顔を真っ赤にして謙也は俯いた。


「うっさいわ!!!アホ!!!」

がるる、と牙をむきながら私に威嚇してきた。


『謙也、光も起こしてあげて』

落ち着かせるために頭をなでると金髪がさらさらと指を抜ける。


「自分で行けや!!!」

ぱしん、と腕を払われたかと思うと、ぷりぷりと怒りながら部屋から出て行ってしまった。


溜め息をつきながら光の寝ている部屋へ向かう。



『光ー!起きてー』

ドアの前から声をかけた。


ガタガタン!!



「なまえさん!?」

さっきまで寝てたんだろうなあ…。


倒れてる耳が可愛らしい。

謙也は犬だったけど、光から生えているのはネコミミと尻尾。
ゆーらゆーらとしっぽを揺らしてぐるぐる喉を鳴らす


『おはよ、』


頭をわしゃわしゃ撫でるとスリスリと甘えてくる。



「おはよ、ございます…。」


『光おきたらご飯たべようね、』

「なまえさんの隣ですか?」

『ひかるかわいいい!』


朝から謙也にツンケンされたから甘えてくる光が可愛くて仕方ない。


「おれ、可愛いですか?」

『うん、謙也にツンツンされたから甘えてくる光が可愛い』


「おれは、なまえさん大好きです」

ぎゅうう、と光の腕に包まれて少しにやにやした。

『やっぱ光はツンツンしてこないし、どっかの変態白石とは違うからいいな。』

光の背中に腕を回そうとした瞬間。

「オモロいことしてるやん。」


ピンク色のオーラが一気に凍る。

バッと身体を離す光。


「俺が何やって?なあ、なまえちゃん?」



確実にミス。


今のは不覚にもミス。


後ろに冷たいオーラを感じる。

私の後ろにいるのはオオカミ…、じゃなかった。

うさぎさん。

信じたくないけど。




『しらい、し…?』


「あれ、呼び方間違っとるよなあ?」

ぴょこぴょこと楽しそうに揺れる長い耳。



『…蔵ノ介くん、』




「ん、正解。ええ子。」



私を無理矢理おさえつけて、ちゅっとおでこにキスをする。


そのあと窒息死しそうなくらいぎゅって抱き締めてからランラン鼻歌で階段を降りてった。



『びっくり、したあ…』



「なまえさん、俺も」


そういって後ろからほっぺにキスされた。


『ちょ!ひかる!!!』


光の方を勢いよく向くとさっき出て行ったはずの謙也と目があった。



「おおおおおれは、ちゅうなんかしたらんからな!!!」


壁にさっと隠れた謙也が叫ぶ。


「謙也さんなにしてんすか。」



「うっさいわ!!調子のんな、タラシ猫!!!」


「はあ!?」





なんやかんやで今日も我が家は元気です
 

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