短編集2

□ひかる可愛いよ!めっちゃ可愛い!
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『ひかる可愛すぎてやばい!!』


隣の席のなまえちゃんがテニスコートを眺めながら言う。

「らぶらぶだよねー。」


棒読みしたら殴られた。
私悪くないのに。


『ひかるホントに可愛いなあ…』


「本人に言いなよ…。」


『いえるわけないじゃん!!』


顔を赤くして睨んできたなまえちゃんは確かにすっげー可愛い。

これは財前光も好きになっちゃうわ。


『うわ、私部活行かなきゃ!!ばいばい!!』


慌ただしく部活に向かったなまえちゃんの後ろ姿を見送った。







彼女が出て行って数分。


本格的にすることないし帰ろっかな。

そう思った瞬間、ガラガラと今日のドアがあいた。





「あれ、なまえおらんの?」


「なんだ、財前くんですか。」


「は、」


「噂をすれば、というか。なまえちゃんはさっき部活行った。」


それだけ言って帰ろうと立ち上がった。


「なあ、」


「ん?」


「なまえと俺の噂してたん?」


「噂、ってかなまえちゃんの惚気聞いてただけで…。」


噂ってほどではない、と続けようとした私は固まる。




なにこれ、





目の前に立ってるのはクールな財前光。





無表情なのに





無表情なはず、なのに。










なんでこいつ、こんな嬉しそうなんだ。







「ま、ええわ。気をつけてな。」



そう言って出て行った時チラッと見えた横顔は確実に笑っていた。













なんだよ、本当にらぶらぶじゃんか










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