復活リクエスト2

□近づき、離れる
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彼は公園に来なくなった。
そして、最後に会った日から数日後に並中生襲撃事件が起こった。
首謀者の所在地が判明し、その場所に向かった。
並盛の隣町である黒曜町。
その町にある数年前に閉鎖した黒曜ランド。
そこが首謀者の所在地だ。

草食動物たちを蹴散らしながら進む。
そして漸くたどり着いた。
荒れた部屋に一人座っている。
暗がりで相手の顔は見えないけど体格的に男だろう。

「座ったまま死にたいの?」

一向に立つ気配のない男に話しかける。

「立つ必要がないから座っているんですよ」

聞いたことのある声。
ここ数日聞くことがなかった彼の、

「君が、今回の首謀者……」

自分でも驚くほど弱々しい声が出た。

「クフフ、そうですよ」

特徴的な笑い声も彼と同じ。
これで彼ではないと思えという方が難しい。
私の胸に感じたことのない思いが溢れてきた。

「君はここで咬み殺す…!!」

トンファーを構える。
それでも彼は立ち上がらない。

「そう急がないでください」

「うるさい」

「君が桜が嫌いな理由を調べてみたんですよ」

ぐらり、と体が傾いた。
倒れそうになるのをなんとか足に力を入れて耐える。

「そしたら中々興味深い理由でしたので取り寄せてみました」

カチ、と何かを押す音が聞こえるのと同時に部屋が明るくなった。
天井いっぱいに広がる桜の木。
舞い散る花びらも本物そっくりだ。
なぜ、さっきまで無かったものが突然現れたのか。

「綺麗でしょう?この桜」

此方に近づく気配に顔を上げると、彼が目の前に立っていた。
その手には三叉槍。

「……っ」

何をされるのかなんて瞬時に理解できた。
トンファーーを振り上げようにも腕に力が入らない。
立っているのがやっとの状態だった。

「前に言いましたよね」

「……」

「君には赤がよく映える、と」

頬に槍の切っ先が当てられる。
彼と目が合うと同時に切っ先が頬を滑った。
たらりと血が頬を伝って地面に落ちた。

「ほら」

ニコリと微笑む彼の笑顔は作り笑いではなかった。



《近づき、離れる》



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なんでヤンデレちっくな感じになったのだろうか。
最初は骸に「花は好きですか?」と言わせること以外何も決まってなかったのに、どうしてこうなった(´・ω・`)

無記名A様、リクエストありがとうございました!
書き直し所望はいつでも受付中です。
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