□君を知るたび
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ある日の放課後
兄さんと一緒に近くのスーパーに買い物に行った
もちろんお弁当のおかずを買いにだ


「雪男、レタス取ってきて。俺肉売り場にいるから」

「わかった、あとで行くよ」


兄さんと別れてから野菜売り場へ、レタスを適当に取り肉売り場へ向かうと兄さんが誰かと話していた。クラスメイトだろうかと相手を見ると僕の知ってる人だった


『あ、奥村くん!あれなら弟さんって奥村くんのことなの?』

「おう、俺ら双子だからな」

「兄さんなんの話したの?」

「あぁ、俺がどの肉にしようか迷ってたからアドバイスしてくれてさ。一人で来たのかって聞かれたから弟とって答えたら、ちょうどお前が来たわけ」

「なるほど」

『燐くんのがお兄ちゃんには見えないけどね、どっちかって言ったら手のかかる弟みたいな』

「余計なお世話だ」


二人の会話を聞いていたときにちょっと心の奥で何かが叫んだ
なんで兄さんは名前で言うの?
今日あったばかりなのにそんなに親しいの
なんで・・・


『…奥村くん?大丈夫?』

「えっ」

『なんか、辛そうな顔していたから…』

「なんでもないですよ」

「あ、やべ。卵忘れた、雪男ここで待ってろよ今ダッシュで取りに行ってくるから」


返事をするまえに兄さんは走って行ってしまった
沈黙が、つらい


『………雪男、くん』

「!」

『奥村くんだと、お兄さんと被るし。名前呼びたかったし』

「それって「お待たせー!!」兄さん」


タイミング悪く兄さんが戻ってきた、つか早い
霧崎さんを見ると少し顔が赤く見られる、これは自惚れてしまいそうになる
そのままレジに向かい出口で別れる

『ならまた明日ね雪男くん、燐くんも』

「また明日」

「じゃーなー!」



女子寮へ帰っていく霧崎さんを見送ると兄さんが帰るぞと反対方向を向き足をすすめる




「燐くんも、か。俺はついでか(しかも名前呼びになってるし)」

「兄さん?」

「なんでもねーよ、つか頑張れよ」

「は?」




*****



女子寮


部屋に帰ると誰もいなかった
遊びに行っているのか、まだ学校なのかわからないが今の私にはとてもありがたいことだった


『……雪男、くん』


呼んでしまった
燐だけ名前呼びして奥村くんだけ苗字はおかしいと思ったけど
でも、呼びたかったしって普通言うか私の馬鹿
どうしよう変な風に思われなかったかな
大丈夫、かな…


そのとき携帯が鳴った
メールだった、相手は奥村雪男


僕も朱祢さんって呼ばしてもらってもいいかな?
聞こうと思ったら兄さんに邪魔されちゃったからね
いいかな?


『いいに、決まってる…』


しばらく送信ボタンが押せなかった
頬を触るとものすごく熱い



あぁ、やっぱり私は貴方が…
 

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