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□頑張り屋
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朝、私は重い身体を起こした。
実を言うとここ最近流行っているであろう風邪をもらってしまったようだ。同室の子の看病をしていたのを思いだし思わずため息。
看病して病気もらうとか…
熱を計れば微熱。
身体は少しダルいが、今日は委員会がある。雪男くんに任せきりにするのは申し訳ないし学校へ向かう準備をした
「ちょっと顔色悪いんじゃない?」
『そ、そうかな?』
学校へ着くなりクラスメイトに言われてしまった。確かに頭も痛いし、熱も上がったように感じていた。
『ちょっと疲れてるだけだよ、ほら最近どたばたしちゃってて』
「…無理しないでね」
『大丈夫、ありがとう。』
クラスメイトは自分の席に座り、私はほっと息を吐いた。
なんとか1日終わればいい、明日は休み。ゆっくり寝れば治ると自分に言い聞かせて午前の授業を受けた。
昼休み
友達と一緒に久々に学食に行くことになり、廊下を歩いてるときだった。
手すりに手を置きながら階段を下りようとしたときに、目の前がぐらりとした。
あ、と気がついた時にはすでに階段から足を踏み外していた。
だが、痛みはいくら待っても来ない。
代わりに来たのが温かいぬくもり、ぎゅっと抱き締めている大きな手、はぁと言う大きなため息。
「間に合った…」
この声を私は知っている。
熱で働いてない頭でも分かる、この人はいつも私を助けてくれる人。そして今も助けてくれた
『ゆ、ゆき…おくん?』
「朝から様子がおかしいと思っていたけど、やっぱり熱があったんだね。」
ばれていた?と聞けば分かるよ…。と少し悲しそうな声で言うと彼はそのまま私を抱え始めた
『ちょ、ゆき…雪男くん!恥ずかしいよ』
「ふらついてて歩けないだろ?すぐだから我慢して」
回りからじろじろ見られて恥ずかしいはずなのに、ドキドキのが大きい。雪男くんにだっこされている、緊張が彼に伝わりそうですごく怖かった。
保健室に着くとベットまで運ばれて、下ろされた。そして先生を呼びに行くのかと思えば、彼は私の顔にそっと手を添えた
『…?』
「どうして僕に何も言ってくれないんです、そんなに僕は頼りになりませんか?」
『違うの!ただ、いつも…雪男くんには迷惑ばかりかけているから。言えなくて…結果的に今日も迷惑かけちゃったし』
「僕は迷惑だなんて思いませんよ、むしろ言われない方が悲しいから。次からは言ってくださいね?」
『うん。』
「なら、約束!」
すっと小指を差し出してきた雪男くんに、 私はそっと自分の小指を絡める
『指切り、出会ったときと一緒だね?』
「そうだね。あの頃と同じ……」
『雪男くん?』
「…先生を呼びに行くね、待ってて」
そっと保健室を出て行った雪男くん。小指を見ると、顔が熱い。これは熱のせいなのか、それとも……
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「出会ったときと同じ…じゃない。この気持ちは、きっと」
僕は、彼女のことが………好き。