君に出逢えて…

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木吉さんと出逢ってから2週間。
おじいちゃんから花札を教わり、木吉さんに相手をしてもらい、やっとルールを覚えた。今日も休憩スペースで花札をしていたら、見知らぬ高校生が木吉さんの名前を呼びながら近寄ってきた。


「木吉!」
「ん?おぉ、日向!」
「おぉ、じゃねーよ!病室にいねーから探しただろうが!」
「すまん、花札してたからさ。茉奈ちゃんと!」
『どうも…、宮地茉奈です。すみません、私が木吉さんと花札したいって言って病室から連れ出したんです。』
「いや、謝ることじゃねーよ。コイツがちゃんと連絡してればよかったんだからな。俺、日向順平。よろしく、いつも木吉の相手をしてくれてありがとうな。」
『そ、そんなことないです!』


日向さんは木吉さんと同じ高校でバスケ部の主将らしい。今日は監督さんから預かった月バスと試合記録を持ってきたらしい。
一緒に見るか?と言われて月バスを見たら"キセキの世代"が特集されていた。来年高校生になる彼らはどこの高校に行くのか世間が注目しているようで、すでに決まっている人もいた。


『来年はすごそうですね。』
「あぁ、でも俺たちは日本一になる。」
「そのためにもお前が帰ってくるまでにもっと強くなる、だから早く治せよ。」
「あぁ。」
『私も、早く治して試合見たいな。』
「治るさ、絶対。」


日向さんは私の頭にぽんと手を置き、にかっと笑った。私もはい!と返事をしてまた3人で月バスを見ながらのバスケトーク。
面会時間ぎりぎりまで日向さんは私たちと話し、帰っていった。エレベーターまで見送り、私もすぐに病室へ向かった。


『木吉さん、今日はありがとう。』
「そんな礼を言われるようなことしたか?俺。」
『ん、でも。なんとなく?』
「変なこと言うな、茉奈は。」


そういうとまた頭を撫でてきた。
ちょっぴり頬が熱かったのは、気のせいかな?

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