君に出逢えて…

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今日は天気がいいから、外に出掛けることにした。もちろん木吉さんも一緒。ほんとは一人で行くつもりだったのに、途中で木吉さんに出逢い行き先を告げると俺も行く!と言い出した。
と、言うわけで中庭に来ている。
太陽の光が差し込み、温かく眠くなってくる。眠たそうにしていたら木吉さんにデコピンされた。


「寝たら風邪引くぞ?」
『寝てないし…それに、風邪も引かないもん。』
「それはデコピンして悪かったな。」


ふと正面を見たらこちらに向かって走ってくる学生がいる。日向さん、ではないな。髪の色違うし…
髪の色?自分の髪を見たら同じ色だ、やばい。アイツが来た。



『お兄ちゃん…!』


車イスを動かそうとしたら、兄である宮地清志が来た。そして私の頬を思いっきりつねった。


「人が心配して探しに来たら何男といんだよ、誰だよ。コイツ。」
『ひほひひゃんふぇふ。』
「何語だ!」
『あー、痛かった!木吉さんです。木吉鉄平さん!』
「!!、無冠の…」
『なんか言った?』
「なんでもねーよ、大坪達がお前に勉強教えてやるって。」
『坪さん来てるの?…木吉さん、すみません。私、病室に帰らないといけなくなちゃって。』
「いいよ、またな。」



お兄ちゃんに車イスを押してもらいながら病室に帰る途中聞いてみた。やっぱりさっきの事が気になってしまい、兄のほうを向き問いかけた。


『お兄ちゃん、やっぱり木吉さんのこと知ってるでしょ?』
「……アイツは"無冠の五将"ってやつの一人だ。お前も"キセキの世代"なら聞いたことあるだろ?そいつらより1つ上の学年で、キセキの世代並の天才なんだよ。お前知らなかったかの?」
『し、知らなかった…!』
「今まで一緒にいて、気が付かなかったのかよ。」
『………だって、知らなかったもん。』



病室に戻ると坪さんと木村さんがいた。二人はお帰りと言い、私はただいまと返す。坪さんはよく勉強を教えてくれる、もちろん学校の友達からノートもらうけどやっぱりわからないとこはある。坪さんは私のためにわかりやすいように教えてくれる。お兄ちゃんは教えてくれるけど間違えたらデコピンしてくるからやだ。
木村さんも教えてくれる、家庭教師が二人もいるみたいだ。


『坪さんいつもありがとうございます。木村さんも、分かりやすいです。お兄ちゃんと違って。』
「お前マジ可愛くない。」
『ならデコピンしないでよ。』
「茉奈ちゃんなら秀徳受かるよ、な?大坪。」
「あぁ、この調子なら大丈夫そうだ。怪我の具合はどうだ?」
『リハビリはいい感じです。歩けるんですけど、長距離歩くとやっぱり痛むんで。』


そっと足を擦る。歩けるけど、やっぱり痛むときは痛む。
すると私の手の上に坪さんの手が重ねられ、続いて木村さん。そして二人が促してお兄ちゃんの手が重なり3人が声を合わせて言った。


「「「早く治りますように!」」」


照れ臭そうに笑う3人を見て私は思わず笑ってしまった。


『ありがとう。早く治りそうな気がする…、明日からもリハビリ頑張れる。』
「当たり前だ、バーカ。」
「宮地は素直じゃないな、相変わらず。」
「うるせーよ、大坪。」


しばらく私の病室からは笑い声が聞こえた。

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