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□お見合いの果て
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『絶対に嫌!!!誰が見合いなんてするか!!』
私は目の前にいる男に怒鳴りつけた。この男、私に見合いしろと言う、格好だけでも冗談だろ?みたいなピエロみたいな格好してるくせに。
聞けば相手は京都出張所の25歳らしい、私より年上。私だって今は23歳、そろそろ考えなきゃとか思ったことは…ない!
『なんで私なの!』
「まぁまずは落ち着いて。彼は、志摩柔造と言います。志摩家の跡取りです。ご長男は"青い夜"の時にお亡くなりになり次期志摩家の当主になるお方です。」
『だから?』
「まぁとりあえず京都に行こうじゃありませんか」
話を無理矢理カットされた挙げ句、抱えられて京都へ。あの鍵、普段は便利だがこの時だけあの鍵さえなければと思う
何時間もかかるはずの場所へたった数秒で着くとか…ありえねぇ。メフィストに抱えられて着いたのは呉服店。メフィストはニコニコ顔で着物をあれこれかき集めた。どうするつもりだ
「さぁ選んでください☆」
『このコートじゃダメなの?』
「お見合いですよ?しっかり正装しなくてどうします。あぁやっぱり貴女には黒が似合いますね」
と、強制的に黒の着物を着せられた。花柄の刺繍があるのでかわいいが…やっぱり行きたくない。
だいたい顔も知らないのにいきなり見合いとか、もう成るようになれ!!
化粧もし、髪型も整えいざお相手さんが待つ部屋へ向かう
―――――…………
「はぁ?見合い??」
「そや、日本支部の子なんやけど」
「お父、今度は祓魔師のうえ日本支部の子かいな。もう見合いはいい言うたやろ?」
「そやけど、今回だけ。な?」
頼んで来る父。しかたないと感じ小さなため息をする。そして重い腰を上げ、スーツ取ってくると言うと自室へ足を運んだ
「金造、俺とお父ちょっと今日帰るの遅くなると思うで皆にそう言うといてくれ。」
「なんや、なんかあんのか?」
「あぁ、ちょっとな。」
柔造は苦笑いをすると金造の横を通り抜けそのまま歩いていった
金造はまたかと思いながら自分の仕事に戻った。
「やっぱり堅苦しいなぁ、これ」
スーツを着るなりブツブツ文句を言う。確かに自分は志摩家の跡取り、嫁さんもらわなあかんのは自分でもわかっとる。だが、見合いなんかで大切な嫁さん決めていいのか?嫁さんは嫌がらないだろうか?いろんなことを考えてしまいいつも断る、多分今回もきっと……。
それならはじめから断ればいい、そうしないのは俺も甘いってことなんやろか……?
「柔造行くぞ」
「あぁ」
この襖の向こうにはもう相手がいる。
どんな顔してるんやろな…、遅刻してきたから呆れとるか。
相手を待たせてるうえに申し訳ないが、断りの言葉準備せなあかんな