BOOK
□愛しちゃってます。
1ページ/7ページ
最近の俺は、おかしい。何がおかしいって、かなりおかしい。
瞳孔開いたチンピラ警察の真選組副長土方十四郎を見ると胸の辺りが締め付けられるような気持ちになったかと思えばドキドキしたりするわけで。
可愛いげねぇはずの俺と同じブツが標準装備のヤローが可愛く見えちまうわけで。
色白でスベスベしてそうな肌は撫で回したいし隅々まで舐めまわしてーし、サラサラの濡れたような黒髪に指を絡めて触れたいと思っちまう。
俺は、どうなっちまったんだァァァ!
「オイ、クソ天パ道路の真ん中で喚くなうるせえぞ!」
非番なのかいつものストイックな黒い隊服でなく大きく胸の開いた黒い着流しを着た男が俺に向かって歩いてきた。
俺の、おかしい原因が向こうからやってきやがった。
「クソ天パは…ねえだろ多串くん。そんでよー銀さんの心の叫び声に出ちゃってた?」
「多串じゃねェェ!!土方だ」
多串って呼ぶ度、毎回律儀に訂正してくる真面目な所ツボだから。
そんでもって怒りでうっすら頬染めちゃって鋭い目で睨みつけてくる瞳孔開いた顔すら可愛く見える。
そうだ、もういくら何でも俺だって気づいてる。
そう俺坂田銀時は土方十四郎を愛しちゃってるみたいです。
「オイ、てめー心の声か何なのか知らねえが全部もれてんだよ。可愛い…とか…ふざけんのもいいかげんにしやがれ!」
俺の胸倉つかんで顔を近づけてきやがった、睫毛長〜。
「オイオイ銀さんふざけてませんよォ全部正直な心の声だからね!」
俺につかみ掛かった手を上から軽く握り込む。
「何だ…それ…お前どういうことだ?」
土方は俺に近づいたまま首を横にコテンっと傾けた。
顔近すぎだからね土方。そんで首をコテンとかさー、お前どんだけなの。
計算なのか!イヤ〜それはナイナイナイ。
天然か!天然なのか!可愛いじゃねぇか。
もう銀さんをどんだけ悶えさせるつもりですかァァァ!
我慢出来なくなるつーの。
「多串くんさー何かエロいよ。着流しからピンクの乳首チラチラ見えてるしさーこう誘惑されちゃったら銀さんの我慢も限界だから」
「てめー多串じゃねえって…」
そう言いながら軽く上から握っていた俺の手を振り払らおうとするから今度は強く強く握りしめてやった。