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□ある雨の日に…
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正午を過ぎてから急に土砂降りの雨になった。
朝の天気予報は晴れだったはずだ。
俺はパチンコ帰りに雨に降られ下着の中までビショビショになっていた。
濡れた着物が肌に張り付く気持ち悪さとパチンコに負けて、ムシャクシャしながら万事屋に帰ってきた。
「帰ったぞー!!」
「土方さんてスゴイですね!!カッコイイです。銀さんなんて毎日ゴロゴロしてばっかりだしパチンコばっかり行って全然仕事しないんですよ〜」
新八の興奮したデケー声が万事屋の玄関を開けたら耳に飛び込んできた。
土方が来てんのか…?
俺と土方は付き合ってる。
体だけの関係とかじゃなく相思相愛だと思ってる。
男同士とかは関係ない。
土方の武装警察って職業上、一応今の所、周りには秘密にしてる。
俺は、皆に土方は俺の彼女だ!って言いたいんだけどね。
いつも大体会ったりすんのは、万事屋には神楽か新八のどっちかが必ず居るので、ラブホか夜に俺が屯所に忍び込むことが多い。
屯所に忍び込んだりしてっから一部の真選組のヤローにはバレてるかもしれねーとは思う。
俺としては神楽や新八ぐらいには土方が恋人だって言いてーし、万事屋でイチャイチャしてーんだけど土方は恥ずかしがり屋さんだからバラしたらヤらせねーとか言うから付き合い出してから土方が万事屋に来たことはなかった。
俺は雨に濡れた体のまま足早に新八の声のする居間の襖を開けた。
裸に腰タオルの新八と、シャツとパンツだけで新八と一緒にいる土方が目に飛び込んで来た。
オイィィィ!!何が起こった!!
「アッ!!銀さん、おかえりなさい。仕事しないでドコ行ってたんですか!大変だったんですよ。土方さんが僕のこと助けてくれたんです!」
新八は興奮した様子で買い物に出かけた帰り道に暴漢に襲われかけた所を近所で雨宿りしていた土方に助けられたと言った。
土方には濡れてしまった隊服を乾かしてもらうために寄ってもらったと説明してくれた。
「フ〜ン。そうなんだ〜。そりゃ良かったな新八。
ケガしなかったんだなー。副長さんどうもありがとうございました〜」
俺は心の篭ってない礼を、ふて腐れて言った。
二人を見てからイライラしている。
「新八〜お前、御礼とか何かしたのか?着替えたら雨上がったみてーだし副長さんに団子でも買ってきてよ」
俺はヒラヒラと千円札を泳がせて新八に渡した。