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□0096:縁がないという縁
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近所でとても有名な、縁結び神社。
女子の間で本当に結ばれるだとかそこの巫女がかわいいだとかいろんな噂が飛び交う。




「テツくん!みてみて恋守り買っちゃった!!」

「さつき馬鹿だろ、こんなん買っても意味ねーよ」

「そんなことないもん!!」

「これ、よく効くって有名なやつですよね」

「そうなのー!!」




部活が終わり、そんなくだらない話が飛び交う。
どうでもいいな、と思いつつ汗を拭いていると会話はエスカレート。
桃井が大輝を殴り始めたんだが大丈夫なのか。

あとテツヤが自分が狙われてるのに冷静すぎる。





「それにここの神社の巫女すっごくかわいくて恋愛相談乗ってくれるんだから!」

「前雑誌に載ってましたよね。たしか恋愛の縁結びだけじゃないとか」

「どーいう意味だ?」

「喧嘩した友人がいれば仲直りできたり、部活内でチームワークが上がったり・・・だそうです」

「くっだんねー」




大輝が帰ると言って部室に向かおうとしたとき。

涼太が大袈裟な音を立てながら体育館に入ってきた。






「黄瀬ちんうるせーし」

「そうなのだよ、お前は静かに入ってくることすらできんのか」

「大変ッス・・・」




深刻そうな顔をして涼太が口を開いた。
なにかあったのかと僕も涼太に声をかける。





「涼太、なにがあったんだ?」

「どうせロクでもねーことだよ」

「今度の大晦日みんな俺に付き合ってくれませんッスか?!」





意味がわからない。







「雑誌の特集で縁結びの神社でお守り買わなきゃいけないことになったんス!!
しかも部活仲間5人以上で行かないと買えない部活縁結び守りなんス!!」

「却下」

「却下です」

「んー、めんどくさーい」

「却下なのだよ」

「俺が行くと思ったのか」

「きーちゃんかわいそう」

「みんなひどいッス!鬼ッス悪魔ッス!!
そこの超かわいい巫女ちゃんとコンタクトまでとってあるのにぃいいぃ!!」





正直、めんどくさいことになりそうだ。

あの神社の大晦日は確か、恋愛系の限定のお守りが発売されるとかで人がごった返している。

涼太には悪いが、僕は行きたくない。
それはみんな一緒みたいだ。





「大体なんでそんな雑誌の特集があるんですか」

「お守りの効果について俺が試せって言われちゃったんス!
俺ら本当仲いいしチームワーク最高ッスし、そんなのいらないって言ったんスけど・・・」

「黄瀬お前・・・」

「それに事前に巫女さんと並んで写真撮ったんスけど待ってますって言われたんス・・・見てくださいこの写真」





ぴらり、涼太が一枚の写真を見せてくる。

そこには箒を片手に微笑む巫女が写っていた。
華美ではない化粧に、決して明るいとは言えない髪色。
けれど、それでいて優雅。





「おっ超かわいいじゃん」

「ッスよねー!名無しさんちゃんっていうんス!!」

「本当だ、名無しさんちゃんだー!この子にこのお守りお祓いしてもらったんだよ!」

「桃っちやべー!それ絶対効くッスよ!!」




本当にくだらないと思った。





「俺ら6人で予約までいれてるんス!そんで買いに行けたらその場で名無しさんちゃんがお守りをお祓いしてくれるんスよ!!」

「え、やばいそれやばい!名無しさんちゃんのお祓いって何ヶ月待ちかわかんないのに!」

「くだらないのだよ」

「・・・名無しさんちゃん、おは朝の占い師もお祓いしたことあるんスよ」

「行くのだよ」




真太郎はこんな調子だし、大輝は巫女目当てで。





「黒子っち・・・」

「興味はあるんですが・・・めんどくs「テツ、一緒に行って名無しさんって奴ナンパしようぜ!」

「青峰くんが行くなら行きます」

「黒子っちなんかひどい!!」




4人が行くなら。





「仕方ない、僕も行こう・・・大晦日は家で行事があるんだが抜けてくるよ」

「赤司っち!!大好きッス!」

「僕も好きだよ涼太。敦もくるんだ、いいね?」

「えぇー、めんどくさーい。けど赤ちんが行くならいいよー、行くー」






大晦日、男6人でなぜか神社にお守りを買いに行くという奇妙な予定が決定した。

桃井も来ればいいのに桃井は友達と初日の出を見に行くらしい。


いよいよ寂しい男集団になってしまったわけだ。
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