シリーズ1
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「キミが好きです!付き合ってください!!」
『・・・えぇっと』
誰か、こうなった経緯を私に説明してください。
事の始まりは、数日前。
少し前に行った生徒会のミーティングの後片付けを終えて、さぁ帰ろうと立ち上がった瞬間だった。
廊下で盛大になにか落とした音がした。
『・・・何事?』
ドアを開けて伺い見れば、近くの教材室に片付けるのであろう様々な道具が散らばっていた。
なのに、そこに有るはずの人の姿は無くて。
『・・・は?』
「あ、すいませーん。すぐ片付けますから!」
窓の外から聞こえた声。
・・・おかしいだろ。ここは3階。
人の声が聞こえるはずがない。
「わわっ、こら暴れるなって!」
続けて聞こえた声に、恐る恐る視線を向ければ、窓の外、空以外に見える木に人が立っていた。
『って、ちょっとあなた、そこでなにしてるの!?』
「え?あ、実は・・・っと、一回そっち戻るんでそこどいてもらっていいっすか?」
『え、あ、はい?』
言われるまま、開け放たれた窓から離れると、その人は身軽に枝を蹴って校舎内に入ってきた。
・・・なんか、着地と同時に“みーっ”って高い鳴き声聞こえたんですけど。
「やー、驚かせてすいません!実はこいつ助けてて」
彼の学ランの懐から顔を出したのは、真っ黒な子猫。
なんだか苦しげに暴れているように見えるのは、気のせい、なんかじゃないよね。
「いてっ!だから暴れんなって!怪我してんだから!」
『・・・まさかとは思うけど。この教材を運んでる途中でその猫が助け求めて鳴いてるのを発見して、教材放り出して助けてた、とか言わないよね?』
「え、見てたんすか?」
驚いたように見つめられ、頭痛がした。
なんだ、この人は頭が悪いのか。
だけど、次の瞬間空気自体が明るくなるような笑顔で笑うから。
ため息交じりの苦笑を返した。