NOVAL

□explain
1ページ/2ページ

「半田君て、キスうまそうよね」

自席の机で頬杖をついていた志保が突然、思い出したようにぽつりとそんなことを口にした。彼女の視線の先には級友と談笑している透の姿がある。

「え?」
「あの夫婦に育てられて耳年増だろうし、半田君、器用そうだし」
「志保……? なによ、急に」
「別に急じゃないわよ。前から思ってたわけだけど、そうね、愛美に聞いてみたくなったのはこの辺の腰付きが近頃妙に色っぽくなったせいかしら」

志保はにやりと口の端を持ち上げ、歓談相手である愛美のウエストラインへと腕を伸ばす。斜め前に立っていた愛美のそこへは容易く届き、志保は触れると掌を沿わせた。

「きゃ……っ」

思わぬ接触に愛美から反射的な声が上がる。園子の目元が楽しげに細んだ。

「あら〜、この程度でそんな反応するなんて、よっぽど可愛がってもらってるのねえ」
「志保ッ」
「ハイハイ、訂正するわよ。キスだけじゃなくてえっちもうまそうよね」
「え、えっちって…………、あのねえ!」

今更照れることもないだろうに。
頬を染めて身を乗り出す愛美とは対照的に変わらぬ笑みでもって愛美の抗議をさらりと流す。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ