NOVAL

□despair&hope
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楓の村に着くなり、川岸で水を汲む
楓の姿が見えた。
血相抱えてやってきた一行に、驚いて、
また犬夜叉の背で力なく目を閉じている
かごめをみた。

「な… かごめ、どうしたというのだ!?」
「奈落の野郎にやられたんだ。
傷つけられた感じはねえみてえだが…。」

「そんなことではない! 
かごめ、しっかりせい!!」

楓は別の事で動揺しているようで、
一行には全く意味が分からず
とにかく楓の家に行き、即座に珊瑚が
敷いた布団の上にかごめを下ろした。
だが背中から離れたかごめの姿に、
犬夜叉は驚愕した。

「舌を…!?」

つう…、とかごめの下唇と上唇の隙間から、舌を切って出た鮮血が、真っ白な
布団に滴る。
犬夜叉の鼻腔に、かごめの血の匂いが
瞬く間に広がる。
視覚と嗅覚で、この世で一番いやな場面に
遭遇してしまった犬夜叉は
手当の道具を準備する珊瑚や、
手当てをする楓、泣く七宝にそれを
優しく宥める弥勒。家の中でぐるぐると
回る状況に、ついて行く事が出来ず、
ただ茫然としていた。

「こら、犬夜叉! かごめさまの手でも
 握っていてやれ!」
七宝を抱く弥勒が、立ち尽くす犬夜叉を
見計らって怒鳴り付けた。
弥勒の胸の中の七宝が、いつもの犬夜叉なら馬鹿にされている…なんて意味を取って
弥勒には向かってくる事を予想し、
自分に火の種が飛んでこないか、
不安になっていたが

「おう」

なんとも素直な犬夜叉を目にして、
犬夜叉が気丈にして居ても実は頭の中は
パニック状態で、ショートしている事
に気づいた。
「犬夜叉、安心せい。血が多量に
出ているがそれほど深い傷では無い。
しばらく安静にして処置をすれば、
血も止まろう。」

楓がかごめの舌の状態を見て、
混乱している犬夜叉に声を掛けた。
すると引きつった犬夜叉の顔は和らぎ、
大分落ち着いた表情でかごめの顔を覗く。

「かごめ…」
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