NOVAL

□鈴虫
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リン、リン、リン・・・









「綺麗ね、虫の声」


「ああ?五月蠅くってたまんねーよ」



綺麗だなんてもっての外だと言うように、頬杖をついて寝転ぶ犬夜叉はそう答えた。

「もう、風情ってものが無いの?犬夜叉」

背後の犬夜叉をジト目で見つつ、私は鈴虫達の声に耳を傾ける。





夏も終わり、だんだんと日中の温度も涼しくなりかけて来た。暑くもなく、かといって寒くもない秋の初旬、過ごしやすい時期である。
中学最後の夏休みを終えた日暮かごめは、学校と戦国時代を行き来する多忙な生活が再び開始していた。

今日は三日ぶりに登校し授業に参加したのち、超特急で帰宅し戦国時代に舞い戻ってきた。
待ちくたびれた犬夜叉達と共に村を離れ六時間ほど。既に日は傾き、街灯など一つもない、この時代の山中は危険と隣り合わせでもあるが、このように自然と間近に接する事のできる場所でもある。








犬夜叉一行は四魂の玉の欠片の気配と情報を元に犬夜叉・かごめと弥勒・珊瑚・七宝・雲母に分かれて捜索していた。

犬夜叉は自身の行動を歯止めさせる弥勒が居ないのをいいことに不眠不休で捜索を継続させようとしていた。
日が傾き、外界が暗闇に包まれてもなお歩き続ける犬夜叉に勿論人間の少女であるかごめは根を上げた。
初めはかごめの提案に耳を傾ける事無く、歩みを進めていた犬夜叉だが蹲り、泣き始めてしまったかごめに、犬夜叉もとうとう折れ、暫く歩いた処に在った、使われていない山小屋で一晩明かすことにしたのだ。
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