NOVAL

□俺の彼女は
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ラブレターと青子を囲んだ女子達のやり取りがしばらく続いて、本鈴が鳴り担任が入って来た。



ホームルームが終わると、青子をあれだけ追求し冷かししていた女子等はそれ以後ラブレターに関する話に触れなかった。

快斗にしてみれば、これ以上嫌な話を耳にしなくてもいいから、好都合だけれど。







「あれ、青子、どっか行くの?」
長い午前授業を乗り越え、やっと昼食のベルが鳴る。
各々持参した・購入した昼食を持ち、他クラスや外や屋上に繰り出すクラスメートが居る中、青子は一人、何も持たずに教室を抜けようとしていた。
自分も級友達と、お弁当を食べようと机を移動させていた時、桃子が青子に声を掛けている所を見た快斗。

青子がクラスで一番仲の良い桃子に、行き先を告げずに出かけようとするなど珍しい、と思っていた。
「うん、ちょっとジュース買いに」
「ジュースってあんた、いつも水筒じゃない。珍しいね。」
「淹れてくるの忘れちゃったの、だから皆と先に食べててよ」
「うん、わかった」
何も、変哲のない会話。
しかし桃子に見せないように背に隠したものが、快斗の位置からははっきりと見えて仕舞っていた。
其の手に握られていたのは、今朝青子の下駄箱にぎゅうぎゅうに押し詰められていたラブレター。



その中の、一枚。




どうやらホームルーム前に女子等と一通り目を通した手紙の中に、今日の昼間に返事を欲しい、と書いてあった奴の元へ返事をしに行くらしい。

ぎこちない青子の笑顔を桃子よりも後ろから目だけで見送る。



『俺には、関係ないもんな…』


本当は「行くな」とか「やめとけ」とか男らしい言葉を青子に掛けてやることが必要なのかもしれない。
だけど其れは本当に俺が言って良い言葉なのかどうか、大事な時に成ってもわからない。



「ちょっと、黒羽君」
青子を見送った桃子は、眉を吊り上げた顔でそのまま快斗のいる男子グループの中に割って入って来た。


「な、なんだよ桃井、どうかしたのか?」
突然やって来た、鬼の様な形相の桃子に、快斗と一緒に昼食を食べていた男子が、目を天にして桃子に尋ねる。

「なんだよ、じゃないわよ黒羽君、今青子が何しに行ったのか知ってるの!? 
…知ってるわよね、あんた今見てたもん青子の事!」
青子といて薄れがちだが、桃子も侮れない人物である。
「…なんだよ快斗、何かしでかしたのか中森」
「しでかしたのは黒羽君よ、
のうのうと青子行かせちゃってさ、いいわけ?青子誰かに取られちゃうよ?」
「取られるって…俺は別に…」
「あー、もうじれったいわね!行くわよ、東棟の非常階段!!!」

煮え切らない快斗に痺れを切らした桃子は、ミートボールを食そうと、フォークに其れを刺しかけていた快斗の学ランの襟を掴むと、
自分よりも大きな快斗を無理やり引き摺って、青子のいるらしい東棟非常階段へと走っていく。


















余談、というか謝罪

今頃気づきましたが、青子の親友…桃子じゃなくて「桃井恵子」だったのよぉぉぉぉ;
ごめんなさい、良く確認しなくてー;;
ナツキの確認ミスです。思い違いです。
原作ファン(私もだけど)の方、すみません。
青山先生、間違ってごめんなさい。
次ページからは「桃子」ちゃんと「恵子」に直ってます…。
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