NOVAL
□rely on
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きっと誰にでも、誰かに頼る、ってこと、あると思う。
弱い人でも、強い人でも。
でも、頼ってばかりじゃダメだから。
だから、自分も頼って欲しい。
頼れる嬉しさを知ってるから。
俺を頼って欲しいんだ。
「ねぇ、透っ。」
日当たりのいい、日曜の午後。
ぽかぽかと暖かい陽気が漂うような──そんな雰囲気。
そんな心地よい空気の中で、俺は読書を楽しんでいた。
愛美は、朝からなにやらせっせと動いていた。俺が今読んでいる本は新一の親父の新刊で、読み始めると共に、どんどんと引き込まれていく。俺の中にある探偵の精神が、うずうずとしてきていた。今、小説の半ばで、丁度いいところ。
そんなところで、愛美に声をかけられた。
「・・・ん?」
「ちょっと・・・透ったらっ。」
「ああ・・・・・・・・・」
・・・ッたく・・・うるせーな、愛美の奴・・・
「だーかーらー、聞いてよ、人の話。透?」
「おお・・・・・・」
ちょっとは、俺に本くらい読ませろよ・・・
「とーおーるー!!」
・・・・・・・・・・・・
「・・・だーっっ。・・・んだよっ。人が集中して本読んでる、ってのによっ。」
パタンと、本を閉じて、愛美に向かって抗議した。
「だって・・・・・・上の棚に・・・」
「・・・ったく。『透、透』って、オメー俺がいねーと、なんにも出来ねーのかよっ。いちいち呼びやがって・・・。どーせ、大した用でもないんだろ?」
折角のいいところを愛美の声に邪魔され、俺は感情をぶつけてしまった。
それでも、俺には、邪魔されたことしか頭になくて、ブツブツと愛美に向かって吐き出した。