NOVAL

□忘却川
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今頃は、犬夜叉は桔梗と
宜しくやっているだろうとか、
否、帰ってきて仲間に
責められているだろうとか、
想像をしていたがどうしても
自分が悪い気がしてきてしまう。自分を責める必要はないと
珊瑚がかごめを宥めたが
どうしてもそう思ってしまうのだ
悪く思ってしまうのは
私が存在することで犬夜叉を
苦しめてやいないか、桔梗の想いを踏みにじってはいないか、
ようするに偽善者ぶっていた。
そうしないと、苦しくて
どうにかなってしまいそう
だったのだ、今まで。

かごめはそんなこんなで
いろいろ考えているうちに
独りでに足が速くなって
楓の村に着いていたらしい。
本当は真っ直ぐ骨喰いの井戸を
目指したいところだったが
一応世話になっている手前、楓の小屋に顔を出すことにした。

「あれ?」

見慣れた、犬夜叉の森麓に
建てられた小屋の簾をめくる。
だが、中は蛻の殻だった。
どこかにでかけたらしい。
夜明けから歩き続け、既に刻限は昼過ぎ。体力も無く、朝食すら
とっていないので空腹、加えて
水筒が空になり喉も渇くという
最悪のコンディション。
かごめは簾をくぐり、
囲炉裏の前に寝ころんだ。
水が入った大きな瓶から柄杓で
ひとすくい余ることなく
飲み干した。
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