NOVAL

□requiem
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私達は、何か気まずい状態のままある
村入った。
どこにでもあるような裕福でも貧しそうでもない一般的な村は、甘い香のする花が
一面に咲き誇っており、私や弥勒様、
珊瑚ちゃんには甘い香りとして鼻に
届いたが犬夜叉、七宝ちゃんと雲母には
きつい頭が居たいなどという諸症状を
引き起こす香りとして鼻に届いた。
心広い村人の気遣いで、村の旅人用に
作られた小屋に泊まることになったが
その夜、村人たちが何者かに
操られている姿を目撃する。
慌てて村人達を救出した所現れたのは
妖怪・花皇。
一見丁寧な物腰の神官のような男だが、
その正体は人々の苦しみと悲しみを
養分として植物にしてしまう蔓妖怪で、
村人が操られているようだったのは、
花皇に養分を吸われたものは幸福を
感じながら花を育てる土となって行くのだ。
奈落の陰謀で父親や仲間を目の前で殺され、弟の琥珀君を人質に取られている
珊瑚ちゃん。
祖父の代から続く呪いを断ち切るため、
打倒奈落に燃える弥勒様。
奈落によって桔梗を引き裂かれ、
さらには桔梗を亡くした犬夜叉。
人々の苦しみと悲しみを食い物にする
花皇にとっては、またとない美味の魂。
特に、最愛の人を失った犬夜叉に目を
つけた花皇は、犬夜叉と私とやられた
振りをして花皇邸に
誘い込む…………………………。

「可哀想に…死んでしまったのですね。
この世で一番愛していた人が。
 その人の後を追って死にたいくらいに。」

花皇の一言に犬夜叉は激怒し、
風の傷を放つが、しかし強ち嘘ではない。

「桔梗の後を追いたいくらい愛しい。」

だから犬夜叉はそんなにも
傷ついているんでしょう?
ほら、やっぱり私はいつも蚊帳の外。
桔梗には及ばないのよ。
村と同じく、一面に敷き詰められた花に
傷ついた心を持つ犬夜叉は施す術なく
飲みこまれ弥勒様から魔よけの数珠を
受け取った私は、それに飲みこまれる
ことなくその場に取り残される。


「後を追って死にたい」

そんなに想って死なせてもらえるんだから
犬夜叉はいいわよね。
簡単に心の中を言えて。
私は、この数珠をつけているから…
数珠をつけている限り、花皇の弦は私に
触れられない。
花皇も私の心を見透かす事は出来ない。

だから、こんなに
悲しいままなんだ・・・・・・・・。

私は無我夢中に弓を引きしぼり、犬夜叉の
消えた花皇邸の家屋に放つ。
だが強い結界が張られ、私の矢では
破れない。
このままでは本当に犬夜叉が桔梗の元へ
行ってしまう――――。
次々に選択肢が無くなっていく中、徐に
魔よけの数珠を矢に巻き付け引き絞り、
思い切りの霊力を籠めて結界に放つ、
直感だったが策は幸いにも結界を破った。
魔よけの数珠を手放した私にすかさず蔓は
寄って来て、
あの奈落の赤ん坊のように心の中を
見られている、嫌な気持ちが心の中に走る。

急速に眠気が私を襲い、
堪え切れなくなり目を閉じた。
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