NOVAL

□requiem
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「つまり、花皇は奈落と手を組んでいて、
私達を待ち伏せするようにこの村に
潜んでいたのでしょう。奈落の狙いは、
犬夜叉を殺すことではなく
桔梗様が居なくなった今、四魂の玉を
探せるのはかごめ様のみ。
そういう理由でかごめ様を
標的としたのだろう。」



かごめが連れ去られた後、屋敷一面に
咲いていた花は砂のように消え去り
心の臓を突き破られるところだった、
花皇による傷のためその場に膝を落とし、
大きな深呼吸を5回ぐらいした後
背後から弥勒達がやって来て

『村に咲いていた花が一瞬で消えた! 
何かあったのか?!』
『弥勒… かごめが連れ去られた!
花皇のやつ…奈落と手を組んで
居やがったんだ。』

急いで立ち上がろうとするが、胸の傷が
痛み力が入らない。

『犬夜叉、胸に傷が…』

七宝が犬夜叉の傷に気が付き、
駆け寄ってきた。

『花皇は人の心の苦しみや恨みを
養分とするんだ。 奈落…それを
使って赤子のようにしようとしたんだ。』
『とにかく、あの小屋に戻ろう。
犬夜叉の手当てもしなくちゃ。』

珊瑚が駆け寄って、犬夜叉の脇の下に
回し肩を貸した。引き摺る状態の
犬夜叉にさらに弥勒が反対側に肩を貸して、
小屋に引き返して、今に至るのである。


かごめの荷物から、手当てする道具を
珊瑚が持ち出して来て、
自棄にしみる薬を胸に押し付け、
痛くならない布切れを疵口に貼る。
その他足の掠り傷を同じように押しつける。

「で、どうするの? かごめちゃん、
奈落に連れ去られたんだろう?」

暫く黙っていた一行の雰囲気の中に、
珊瑚が切り出した。

「ええ、奈落がかごめ様に危害を
加えることはないと思いますが…
操り人形になったかごめ様が奈落の
支配下になってしまえば、
こちらに勝ち目はないでしょうし、早く取り返さなければいずれにせよ殺されます。」
「そ、そんな…」

既に泣いて鼻がズビズビと言う七宝が
さらに涙目になる。
泣きたいのはこっちなのに、ガキはいいな。と皮肉る。
「奈落の気配は分からねぇが、
かごめの匂いならどこにあるかわかる。
そこを辿る!」
「もう、怪我は平気なの?」

手当の道具をしまう珊瑚の声も聞かず、
腰に刀を差し立ち上がり
小屋から出て行ってしまう。

「犬夜叉、そんな心配なら、かごめちゃんにそんな思いさせるんじゃないってのに…」

今回の事件が犬夜叉のせいだと言わん
ばかりに珊瑚が口を尖らせる。
しかしそれを弥勒が宥めて

「まあ珊瑚。相手は犬夜叉です。馬鹿の
塊ですから普通の常識人が何を言っても
今の場合通じないでしょう。
しかもかごめ様ですし。」
「なんか言ったかコラ。」

簾の向こうから犬夜叉が顔を出して
弥勒と珊瑚をにらむ。
暗そうに自責しているのかと思えば、
案外いつも通りなので二人は安心した。

「とにかく、行くぞ!」
「了解!」
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