NOVAL

□despair&hope
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「おかしい…」

小屋に一人残った犬夜叉は、
かごめは一向に戻ってこない事に
動揺していた。
その頃には珊瑚や七宝立ちも戻って
来ていて、かごめが一人で出かけた事を
知らせた。
初めはこんな時に一人で出かけさせた事を
咎めた珊瑚たちだが、その意図を知ると
犬夜叉を励まし、これからのかごめへの
接し方を考えていた。
夕餉の支度を楓がし始めた頃、
犬夜叉が立ち上がり暖簾を捲る。

「かごめが帰ってこねえ。
大分経ってるぞ。」
「雨も降り始めましたし、
帰ってもいい頃ですね。」
「どこかで立ち往生してるかもしれないよ」

全員が暖簾の向こうを見ていると、
犬夜叉に七宝が発破を掛ける

「こりゃ犬夜叉。ぼおっとせんと探しに
行かんかい!」

七宝よりも倍大きい3人が入り口を
占領しているため、
向こうが見えず苛立ったせいでも
あるのだが。

「そうだよ、かごめちゃん待ってるよ?」
「行っておやりなさい。」
「おう。」

雨の中犬夜叉はかごめが行ったであろう
小川に向かう。

小川に辿り着くと、水量は雨のせいか
少し増していて濁っている。
かごめと何度か来た事がある場所へ足を
運んだが、姿は無い。
森から村の方へ流れる川を、
遡りつつここまで来たが、
どこまでかごめは行ったのだろう。
最悪な事に雨で匂いはすべて
消されてしまっている…。

川は上流に来ると、森に入る。
なだらかな道でかごめなら入っていけるか…

このまま真っ直ぐ向かうと村を
一望できる崖だ…
まさか、落ちてるってことは…

雨か冷や汗か、犬夜叉の頬を雫がつう、
と伝う。
それが地面に滴り落ちるのと同時に
犬夜叉は全速力で崖へと向かい始めた。
そんな、かごめが…
別にかごめが崖に向かったとは限らない。
他の場所へ行ったのかもしれない。
しかし犬夜叉にはそんな答えは
浮かばなかった。
鬱蒼とする森林から、開けた草むらへと
変わり、向こうに崖が見え始める。
気のせいか、崖へ真っ直ぐに向かう
足跡がある。
嫌な不安が募る。

「かごめ!!!」

居ないかもしれないのに、かごめの名を
呼ぶ。
下を覗くと、木々の間にかごめの
着る緑色の着物がチラリと見えた。

「…っ!!!!」

犬夜叉の嫌な予感が辺り、かごめは崖から
落ちていた。
急いで崖の下に降りると、
横たわるかごめを抱き揺らす。

「かごめ、おい、かごめ!!!!」
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